文科省や大手メディアは「日本はいじめの少ない国」と解説
OECDの報告書は、全体的に%の数値が大きく、国際比較で差がはっきりする「年数回以上」のデータに近い総合指標に基づいて概要版のランキングを作成している。ラトビアやニュージーランドのように頻度に関わりなくいじめの多い国や、ポルトガルや韓国のように頻度に関わりなくいじめの少ない国はこの指標で判断してもよいかもしれないが、日本のように頻度別のランキングが大きく異なる国ではそうはいかない。
ところが、概要版のランキングに引きずられて、日本の公表機関となった文部科学省の国立教育政策研究所の報告書や、これに基づく報道(日経新聞電子版2017年5月2日付など)ではどちらかというと「日本はいじめの少ない国」と結論づけてしまった。もう少し細かにデータを見てから、多い少ないの判断をすべきだったと思う。
日本では「からかい」と「こづきまわし」が多い
上で述べたように、月数回以上「何らかのいじめ」を受けている日本の生徒の割合は21.9%と主要7カ国の中では英国に次いで多くなっており、いじめが多い国と言わざるをえない。月数回以上のいじめについて、図表2には、いじめの種類別の頻度を主要7カ国で比較した。
いじめの種類については、いずれの国も「からかい」が最も多いという共通点もあるが、何が多いかは、国により、やや異なっている。
例えば、主要7カ国における順位は、日本の場合、「からかい」と「こづきまわし」については1位と多いが、「仲間はずれ」「持ち物隠し・破損」「悪いうわさ」は6位、「脅かし」は5位と低いほうに属する。
いじめ種類別の順位を調べると、「からかい」に次いで多いのは、英国、米国では「仲間はずれ」であり、フランス、スウェーデン、ドイツ、韓国では「悪いうわさ」となっている。2位が「こづきまわし」であるのは日本だけである。