「良し悪し」ではなく「好き嫌い」で考える

『すべては「好き嫌い」から始まる』
楠木建『すべては「好き嫌い」から始まる』(文藝春秋)

2位にランクインしたのは『すべては「好き嫌い」から始まる』でした。著者は『ストーリーとしての競争戦略』の楠木建氏。「文春オンライン」の連載に加筆修正を加えた、23のエピソードで構成されています。

一話完結の人気コラムだったこともあり、どこから読んでもおもしろく読めます。一貫しているのは「良し悪し」ではなく「好き嫌い」で考えようというメッセージ。まさしく今の時代精神を表しており、読者から多くの注目を集めたのも納得です。

「良し悪し」を決める絶対的権威があると考えると、人はだんだん身動きが取れなくなります。反対に、自分の「好き嫌い」で動いていいと考えると、途端に体が軽く感じるもの。「誰かがこう言っているから」「社会ではそうなっているから」と思考停止せず、自分で考える感覚を取り戻すための一冊といえます。

自分の本心に向き合わないと死ぬときに後悔する

『死ぬ瞬間の5つの後悔』
ブロニー・ウェア著、仁木めぐみ訳『死ぬ瞬間の5つの後悔』(新潮社)

著者のブロニー・ウェアさんは、緩和ケアの介護職として、終末期の患者たちを支えてきました。その経験を基に書いたブログをまとめたのが本書『死ぬ瞬間の5つの後悔』です。2012年刊行の本ながら注目を集め、今月3位にランクインしました。

人間はいずれ死にます。にもかかわらず私たちの多くは、死を意識する機会はあまりありません。だからこそ死について能動的に考え、「そのとき何を後悔するだろうか」と思いを巡らせることは大切なのではないでしょうか。自分の死について考えることは、自分の生き方を考えることになります。

著者によると、死を目前にした人の後悔は大きく5つに分けられるといいます。そのすべてに共通しているのは、「自分の本心に向き合わなかったこと」。どうすれば後悔しない人生を歩めるかを考えるとき、本書は間違いなく一助となってくれるはずです。