しかし日本人は、眼圧が高くないのに緑内障が起こることも多く、眼圧だけでは判断できません。視野の検査や眼底検査なども行って、あわせて判断します。

目の一番奥のほうを見る眼底検査は、検診では眼底の写真撮影をして、後で眼科医が写真を見ることが大半です。瞳孔から入った光を受ける網膜や、視神経の状態を見て、緑内障や、水晶体が濁る白内障、網膜に異常が起きてものが見えにくくなる加齢黄斑変性などの可能性を調べます。

眼科で行われる「眼科ドック」を考えてほしい

眼科の病気のリスクが高い人はぜひ、眼科で行われる「眼科ドック」を考えてほしいと思います。血縁に緑内障の人がいる場合や、強い近視の人、血圧が高い人は、緑内障になる可能性が高いことがわかっています。一般の健診に含まれる眼科健診は簡易的なものなので、2~3年に1回くらいは眼科ドックなどで診てもらうと安心です。

例えば当院で行っている眼科ドックでは、CT(コンピュータ断層撮影)のように赤外線で目の中の断層撮影を行い、網膜や視神経の状態を細かく見る三次元眼底解析検査(OCT)や、視野検査、涙の量を調べる涙液検査、角膜の細胞の状態を調べる角膜内皮細胞検査などを行い、目の病気がないか判定します。検査時間は約2時間です。

▼緑内障が増える40代から定期検診。眼科ドックも視野に

井上賢治
医療法人 社団済安堂理事長 井上眼科病院院長
千葉大学医学部卒、東京大学医学部大学院修了。眼科専門医。専門は緑内障。138年(創立1881年)の歴史を有する日本有数の眼科専門病院のトップを務める。著書に『視力0.1でも豊かな生活を送る 目の健康を守る本』など多数。
(構成=大井明子 撮影=石橋素幸 写真=iStock.com)
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