山本太郎氏の政策には反対だが手法は評価したい

野党間の予備選挙など、ちょっと知恵と工夫を施せば、簡単にできることである。

実際の投票でやろうとすると、投票権者を確定しなければならず、これは難しい。別々の党をまたいで予備選をやるとなると、各野党の党員を投票権者とせざるを得ず、そうなると党員数で、事実上、勝負は決まってしまう。

ゆえに予備選挙といっても、実際の投票で決めるのではなく、世論調査を活用すればいい。

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これくらいのこともできない政治家、政党が、日本に山積している超大型課題を解決することなどできるわけがない。

今、野党は、与党に反対することが仕事になっている。反対するのは非常に楽だ。しかし、「反対するのはいいけど、じゃあどうするの?」と突き付けられた時にこそ、政治家・政党の力が試される。まさに法律や制度を作る構想力、実行力であって、今の野党に欠けているのはその点だ。

だからこそ、予備選挙の制度がないなら、その制度を作って実行力を示すべきだ。制度がないからできない、と答える野党に、有権者は実行力を認めることなどできず、政権を委ねることはないだろう。

ゆえに、枝野さんの「制度がないからできない」という答えは野党の党首としては最悪の答えだった。

野党が予備選挙の制度を作り、予備選を実行すれば、今度は野党間でつぶし合いだ。

野党間で激論を戦わせれば、メディアも報じざるを得ない。有権者も、これまで抱いていた野党への関心よりも、はるかに強い関心を抱くことになるだろう。

激論がショー的になってもいい。とにかく、野党に関心を持ってもらわなければならない。そして最後のジャッジは、世論調査の結果によって行う。極めて、クリアーな決め方だ。

(略)

野党は、どうすれば数千万人の有権者を引きつけることができるのか、真剣に考えるべきだ。賛否はあるだろうが、ショー的な要素を入れることも必要になろう。

僕は、「奨学金チャラ」のところ以外は、彼の政策にはまったく賛同できないし、彼が掲げる政策などを実行すれば日本は沈没すると思っているが、それでも山本太郎氏のショー的なやり方には有権者を引きつける力がある。野党間予備選挙に彼を参加させれば、予備選が盛り上がることは間違いないと思う。

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※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.161(7月30日配信)を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【野党予備選】参院選後の今だから言う! 予備選くらい実現できない野党に政権奪取の資格はない/【令和時代の天皇制(4)】秋からの皇位継承論議に向けて提案したいこと》特集です。

(写真=時事通信フォト)
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