副業は「収入補塡目的」で「パート・アルバイト」が最も多い

実際に副業者、副業志向の人が徐々に増えている。

パーソル総合研究所の調査によると、正社員で「現在副業している」人は10.9%、「過去に副業経験あり」の人の含めると20.8%。副業未経験者のうち今後副業したい人は41.0%に上る。とくに20代の男女がともに55%を超えるなど副業志向が強い。

また「現在副業している」人のうち41.3%が1年以内に副業を開始している「副業の実態・意識調査」(2019年2月12日公表)。

副業の目的のトップは「収入補填目的」であり、就業形態は「パート・アルバイト」が36%と最も多く、次いで「フリーランス・個人事業主」29.4%、「正社員」15%となっている。就業先は飲食店や接客・サービス業が比較的多い。

また、リクルートワークス研究所の調査でも、2018年1年間に副業したことのある正社員は10.4%。就業形態は「パート・アルバイト」が30.4%を占め、副業の目的は「生計を維持するため」が47.4%と約半分を占めるなど、同じような傾向になっている(「全国就業実態パネル調査2019」2019年6月24日)。

本業の収入が少ない、あるいは減ったために生計費を補塡するために、飲食店やコンビニなどで働いているサラリーマン像が浮かび上がる。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/filadendron)

年収ベースでは残業代収入は約120万円だが、副業は約82万円

1週間当たりの副業の平均労働時間はパーソル総研の調査では10.32時間。リクルートワークス研の調査では9.9時間。これもほぼ10時間程度と同じ結果になっている。月に換算すると40時間程度働いていることになる。

ではいったい副業でいくら稼いでいるのか。パーソル総研が分析した平均月収は6万8200円。副業の平均時給は約1652円となっている。この金額は減った残業代に見合う金額なのか。

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」の2018年の大学・大学院卒の30~34歳の残業代を含まない平均月給は約31万円。この数字を基に25%割り増しの1時間当たりの残業代を試算すると約2500円になる。副業している人よりも高く、副業している人と同じ月40時間だと、10万円になる。

つまり残業するよりも副業だと月に3万円も低い収入しか得られないということだ。年収ベースでは残業代の収入は120万円だが、副業は約82万円にしかならない。副業だけで従来の年収をカバーすることは非常に難しい。