“仲良しこよし”の会社は報酬水準が低いことも
人事制度の中身をみると「仲間」を一番に強調する組織ほど、実は報酬水準が低かったりします。仲間なので、評価や報酬でキッチリ差をつけないほうが都合いいからです。
評価で差がついたら給料、ボーナス、賞与で差がつくことになり、その瞬間に嫉妬や妬みが出て、仲間の輪が崩れてしまうからです。日本人が「みんな」の同調圧力に弱い点を利用し、報酬水準を他社より低く設定している企業も多々ありました。経営陣とも“仲間”なので「報酬をあげろ」と言い出せなくなり、その現状に馴染んでしまうのです。
会社も、社員も成長する会社は、仲間は大事にしますが、それを一番に掲げることはしません。
仲間の意味も違います。サッカーにたとえるなら、これから勤めるべき企業は、サッカーが好きな同好会レベルではなく、お互いが一流のプロとして自立(技術の高みを目指す態度)と自律(他者との関係性を踏まえ、セルフコントロールする態度)を兼ね備えた日本代表です。仲間内の世界では自立も自律もできません。
会社の長所を聞いたら、裏取りを忘れずに
「子供の組織」ではなく「大人の組織」に身を置かないと、飼い殺しになり、その会社で一生を終えるしかなくなります。確認する方法は簡単です。面接で、その会社の仲間以外のウリを聞き、その裏を聞けばいいのです。
・「自由な組織がウリです」→「権限はどこまで任されますか?」
・「活躍すればドンドン昇進するよ」→「管理職以上の就任時の年齢と在職期間の平均を教えていただけますか?」「役員は全員オーナーの親戚関係ですか?」
など、質問の裏を取れば、実態がみえてきます。本物の詐欺師は、「悪そう」とか「怪しそう」という雰囲気はないそうです。いたって普通なので騙せるのです。そう、悪魔は神様の顔をしてやってきます。
「いい人ばかりだから働きやすそう」の罠にはまると、あなたの職業人生が、その会社の養分にされてしまうので注意しましょう。実態の真逆を目指す姿勢として経営理念にいれるケースがあるからです。そういう会社が圧倒的なことを忘れないでください。ご注意を!
人事・戦略コンサルタント、HRストラテジー代表
日本人材マネジメント協会執行役員。外資系大手コンサルティング会社であるPwC、マーサー、アクセンチュアなどのプリンシパル(部長級)を経て現職。国内外の大企業から中堅企業まで600社以上の働き方と人事の改革に従事。『「稼げる男」と「稼げない男」の習慣』(明日香出版社)、『「ラクして速い」が一番すごい』(ダイヤモンド社)など著書多数。