「みんなで決める文化」(YES)→「トップダウンの決定はない」(NO)
→ゆえに「権限を与えてくれないのでは?(いちいち決済承認が必要では?)」「みんなで決める分だけ意思決定のスピードが遅いのでは?」
など、思いつくものを書き出していくと「ベンチャーと言うが、実は堅実なカルチャーなのではないか?」などと仮説が立ちます。これを全ての項目で実施し、つじつまがあうように一本背骨が通っているか、矛盾がないかを精査します。
面接で率直に聞き、反応をうかがってみよう
その上で、この判断軸で実際に意思決定が行われているかを聞けば、実態のカルチャーが見えてきます。面接で確認する時は直球で質問するといいでしょう。直球を投げた時の相手のリアクションで嘘か本当かがわかります。
組織のカルチャーはYES/NOの判断の積み重ねで生成されます。カルチャーになる判断は「瞬時」です。無意識レベルの判断基準なので空気になるのです。ゆえに、相手がYES/NOで判断しやすいように直球で投げるのです。直球を投げてデッドボールになるのが懸念される時は、ひと工夫すれば大丈夫です。
「ふと、思ったのですが……」と前置きすると角が立ちません。そして、一度ポジティブに解釈していることを伝えた上で聞くのです。
さらに、特に注意すべきは矛盾点です。「みんなで決める文化」なのに「一人ひとりがイノベーションを起こす」も経営理念としてあったら、矛盾しているように見えるのでチェックが必要です。
組織文化が「仲間を大事にする」なら注意
折角なので、転職候補先の会社のホームページで実態を見切る例をお出ししましょう。
組織のカルチャーを示す言葉に「仲間を大事にする」という表現があったら注意が必要です。考えてみてください。一緒に働く仲間は大事に決まっています。仲間を大事にしないことを売りにする会社は成り立ちません。仲間をメインに強調する会社には、2つのリスクがあります。
1つ目は売りになるものがない、2つ目は、オーナー社長と馬が合う人しかいない集団という可能性が高いです。ランチ、飲み会などで就活生と社員が集まる機会を多くし、仲良くなって「もう、ええやろ!」と口説くのが、社員に人材を紹介してもらうリファラル採用のコツと解説するコンサルタントもいるくらいです。
他社と比較して、会社としてのウリがない会社は、チャンスや報酬の条件が合わずに退職する確率が高い“意識高い系”ではなく、文句を言わず、普通に長く働いてくれるフツーの学生の採用がキーになります。ある採用担当者は「理屈でも条件でもなく、仲良くなることが一番」とも言っていました。ここに罠が潜んでいます。