「なんとかなる」の思考停止で茹でガエル寸前に

なぜ、銀行は変わることができなかったのか。

大塚明生『バンカーズ・コード』(プレジデント社)

それは銀行が規制業種であり、他業界と比べて事業が存続できなくなるリスクが低く、変わらないままでもなんとか生き残ることができたからです。いわゆる護送船団方式の中で、銀行は外に目を向けるのではなく、横並びのまま量的拡大競争を続けてきました。

なんとかなるという意識が思考停止を招き、後戻りできないところまで来てしまった。いわば、茹でガエル寸前にまで来たわけです。

つまり、銀行衰退の最大の原因は、銀行が「変革力」を喪失してしまったからにほかなりません。

こうした状況は、何も銀行業界だけで起きていることではありません。

多かれ少なかれ日本のあらゆる業界で同様のことが起きています。銀行の構図は日本の縮図なのです。

大塚 明生(おおつか・あきお)
Ohtsuka Associates Japan 代表取締役
1953年生まれ。1976年京都大学法学部卒業。住友信託銀行(現三井住友信託銀行)に入社。東京営業第一部、営業企画部、企画部等を経て、1996年に年金信託部に異動後は一貫して企業年金事業に携わり、日本の企業年金マーケットのトレンドを牽引してきた。2011年取締役副社長に就任。その後顧問を経て、2019年4月に資産運用ビジネスに関わるコンサルティング会社を立ち上げる。著書に『戦略的年金経営のすべて』(金融財政事情研究会)をはじめとする投資・金融に関する専門書、『逆境のリーダー』(集英社)など。
(写真=iStock.com)
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