少ない社員で上手くやるコツは、適切な役割分担
弊社2人の業務を大まかにまとめると、以下のようになる。
・Y嬢=私に比肩するレベルで企画アイデアを出しつつ、実作業を手がける。その他、営業面の渉外担当となり、経理を含めたもろもろの事務手続きをする。場合によっては私のアイデアを代わりにプレゼンする。
たとえば、私がアイデア出しをするような打ち合わせの場合、基本は自分一人で出向く。だが、金銭的な交渉などが発生する場合はY嬢も連れていく、ということだ。これはY嬢の場合も同様で、彼女が企画を立てた案件であったり、すでに担当者と人間関係が構築できている案件だったりしたら、Y嬢一人で行く。私が同席するとしたら「今回は“御大”(笑)である中川君にも来てもらうほうが先方も喜びそうだから、よろしく」といったときぐらいだ。
そもそも、わが社は意識的に2人のキャラクター分けをしているところがある。「私=基本的に鷹揚だけど、下手なまねをすると容赦なくキレる人」「Y嬢=呑気ながらも激しやすい社長(私)を叱咤したり、なだめたりする、しっかり者で頼りになる番頭」といった感じだ。このキャラ分けが効果的に機能しそうな場面であれば、2人そろって出向くことになる。
無駄なこと、無意味なことをやめる
こうした役割分担をすることにより、これまで大きな問題などは起きたことがない。取引先から「えっ……たった一人で来たんですか……」などと失望されたこともない。関係者のあいだで必要なコミュニケーションが取れて、求められるアウトプットができれば、案件は問題なく進んでいくものだ。
いま、働き方改革を推進するにあたり、必要なのは「人数ばかり多くても、何も意味がない。場面や状況に応じて、本当に必要な人だけがその場にいることのほうが大事」というマインドを皆が持つことである。別の言い方をするなら「『大人数で出向くほうがこちらの誠意を見せられる』といった、古くさい誤解を捨て去る」ということかもしれない。
とにかく合理的な判断を心がけ、最大限の成果を上げることだけ考える。これは費用対効果や時間の有効活用などビジネス上のメリットだけでなく、健康的な暮らしや余暇の充実といったプライベートにおけるメリットにも繋がる要点といえる。
まずは無駄なことをしない、と各人が意識するだけで、確実に日本の働き方は変わっていくはずだ。
・「働き方改革」の基本は、「無駄なこと、無意味なことをやめる」という意識を各人が持つことである。
・「そこにいなくてもいい人」がいる場面が多すぎる。本当に必要な人だけいれば、仕事は進んでいくものだ。
1973年東京都生まれ。ネットニュース編集者/PRプランナー。1997年一橋大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ではCC局(現PR戦略局)に配属され、企業のPR業務に携わる。2001年に退社後、雑誌ライター、「TVブロス」編集者などを経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『バカざんまい』など多数。