香港に中国本土からの弾圧が迫っている

6月12日付の朝日新聞の社説はこう書き出す。

「東洋と西洋が出合う多彩な文化と経済の拠点都市・香港。その活力は、歴史に培われた自由の風土から湧き出ている」
「その大切な土壌が枯らされてしまうのではないか。いま多くの香港市民の胸中には、そんな危機感が強まっている」

朝日社説に指摘されるまでもなく、「多彩な文化と経済」「自由な風土」という形容詞は香港にぴったりである。その香港に中国本土による弾圧という危機感が迫っているというのだから、尋常ではない。

朝日社説は「香港市民の民意のうねりを無視するならば、国際社会への背信でもある」と主張し、「香港政府は改正案を撤回するのが、自治の精神にかなう行動だ。中国の習近平体制は、香港政府を介した強権の発動を即刻やめるべきである」と訴える。

「国際社会への背信」「強権の発動」は、うなずける主張である。

安倍首相は習近平国家主席が怖いのか

朝日社説はさらにこう書く。

「近年、香港の法を無視する行動が増えた。共産党に都合の悪い出版を計画した書店関係者らが失踪し、後に中国で拘束されていた事件もあった」
「香港人の多くは、中国に親戚がいたり、中国とのビジネスで生計を立てたりしている。共産党ににらまれたら、誰でもいつでも連行されかねない、との不安を抱くのは無理もない」

中国共産党による迫害は続いている。迫害をなくすには、民主化しかない。一党独裁による習近平政権の持つ、強権性に大きな打撃を与えなければならない。

最後に朝日社説は言論統制に言及しながら日本に行動を求める。

「中国国内での言論統制は相変わらずだ。こうした香港の動きについて、中国メディアは伝えない。中国本土から香港、そして台湾にも及ぶ習体制の圧力強化を前に、国際社会は沈黙してはならない」
「米国、欧州連合、英国、カナダなどの各政府は、条例改正への懸念を表明した。自由と民主主義の価値観を共有する先進国を標榜するなら、日本も明確に態度表明すべきである」

日本の安倍政権はなぜ、欧米のような懸念を示さないのだろうか。安倍晋三首相は習氏を恐れているのか。