血筋がいい人は根拠のない自信を持てる

じゃあ、その人間的魅力とやらを手っ取り早く身につける心理学的な手法を教えてくれよ! と思うだろう。

ない。残念ながら、ないんである。私にも人間的な魅力はあまりない。

ハローとは後光のことで、輝かしい肩書や高い学歴などの顕著な特徴に引きずられて、その人のほかの部分や全体の評価にゆがみが出ること。伊達政宗や上杉謙信のように血筋がいいと、それだけで相手は位負けしてしまう。また「この子は傑物に違いない」と言われて育つことになり、その期待が本人に伝わり、実際その通りになることも多い。これをピグマリオン効果という。
ハローとは後光のことで、輝かしい肩書や高い学歴などの顕著な特徴に引きずられて、その人のほかの部分や全体の評価にゆがみが出ること。伊達政宗や上杉謙信のように血筋がいいと、それだけで相手は位負けしてしまう。また「この子は傑物に違いない」と言われて育つことになり、その期待が本人に伝わり、実際その通りになることも多い。これをピグマリオン効果という。

では、人間的な魅力のない人間は、諦めない人生を送ることを諦めるしかないのかといえば、そんなことはない。「ハロー効果」を利用する手がある。ハローとは後光という意味。人間は、後光が射している人物を、この人はスゴイ=人間的魅力があると思い込んでしまうのだ。

こんな実験がある。被験者に、ひとりの子供が遊んでいる映像を見せる。そして、この子供が将来どんな人生を送るかを予測してもらう。何の情報も与えなければ、普通の大人になるという答えが返ってくる。ところが、その子供が医者や弁護士といったステータスの高い職業の親を持っているという情報を伝えると、立派な大人になる、出世するといった答えが爆発的に増えるのである。つまり、血筋、肩書、学歴といった“後光”によって人物の評価は左右されるものなのだ。

伊達政宗がその典型だ。母親は出羽の戦国大名・最上義守の娘、義姫。正室は田村清顕の娘、愛姫。田村家は奥州の名門で、かの坂上田村麻呂の末裔である。名前は伊達家中興の祖である第九代大膳大夫政宗にあやかったもの。血筋もピカ一なら、生まれた瞬間から周囲の期待を一身に集めていた。

血筋がいい人は、根拠のない自信を持つことができる。そして、周囲から色眼鏡で見られ、期待をかけられることで、その気になってしまう。その結果、諦めずに偉業を成し遂げてしまうのである。

人間的魅力を持った人物にはかなわないが、色眼鏡で見てもらうことによって、少なくとも諦めずに生きることはできる。私はものすごく頭が悪いが、一応、大学院を出ているので、きっと頭がいいのだろうと勘違いされる。勘違いしてくれる人たちのお陰で、諦めずに心理学の研究を継続することができるのである。

今から社会人大学院に行くのでもいい。何か自信になるもの、周囲が色眼鏡で見てくれるものを見つけよう。

(構成=山田清機)