首相に解散を迫らない野党のへっぴり腰
野党議員たちも「自信がない」のは同じだ。
「ついに党ごと消滅しそうな『民主党』の最期」(6月5日付)でも紹介しているように、野党側は本音では衆参同日選を回避したい。特に党勢が低迷し続ける国民民主党は、もし同日選となれば党存亡の危機に直面するだけに戦々恐々としてきた。
野党内では今「解散が遠のいたから堂々と内閣不信任決議案を出せる」という考えと「わなかもしれない」という考えが交錯している。
一連の「解散見送り」報道の後、ある野党議員は自民党国対幹部に「不信任決議案は出しますよ。自民党はもう解散しないと決めたのでしょ」と伝えてきた。自民党議員が「安倍首相次第でまだ分からないですよ」と伝えると、野党議員はぎょっとした表情をしていたという。
本気で政権を追い詰めようとするのならば、安倍氏に直接、衆院解散を迫ればいい。しかし10日、安倍氏出席のもと開かれた参院決算委員会で、野党議員たちは安倍氏に対し解散の意思を問うことはなかった。
大前提の「参院単独でも十分勝てる」は崩れ始めた
政府・与党内で同日選見送り論が高まった理由は「参院選単独でも勝てる」との見通しになったためだという。そのようなデータが政権幹部に上がっているのは事実だ。しかし、その理屈であれば、与党が議席を減らす可能性が生じた場合、解散風が再浮上することになる。
6月中旬に入り、年金だけでは老後2000万円不足するという内容の「消された報告書」問題が急浮上。安倍政権への批判が強まっている。
また米国とイランの間を仲介してポイントを稼ごうとした安倍氏のイラン訪問も、滞在中にホルムズ海峡付近でタンカー攻撃が起き、安倍政権のもくろみは外れた。
安倍政権に逆風が吹き始めている。毎日新聞が15、16両日に行った世論調査では内閣支持率は前月比3ポイント減の40%。不支持率は6ポイント増の37%。自民党の支持率は36%から29%に急落。潮目は変わり始めている。
だとすれば「参院選単独では苦戦する」という判断に変わり、同日選論が再燃するという展開も考えられる。