「文政権が北朝鮮を配慮した」との批判の声

金正恩氏はそこをよく分かっていて今回、立て続けに短距離ミサイルを発射して脅しをかけたのだ。つまりトランプ氏の足元を見ているのだ。それゆえ太氏の指摘するように「この次は中距離ミサイルを発射して脅してくる」ことになる。

金正恩氏に対し、沙鴎一歩はこれまで「実にしたたかだ」と形容してきたが、もはやその域を超え、国際社会に背く「無法者」になりつつある。

そんな金正恩氏にまるで腫れものに触るかのような扱いをする韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は、問題である。

たとえば、北朝鮮が5月4日に東部の元山(ウォンサン)から日本海に向けて約20発の飛翔体を飛ばした1回目の発射の際、文政権は国連安保理の制裁決議に違反する弾道ミサイルが含まれているか否かについてのコメントを避けていた。

この対応に韓国内では発射が制裁決議に違反したことにならないように、「文政権が北朝鮮を配慮した」との批判の声が多く上がった。

韓国、アメリカ、日本の各国は毅然とすべき

仮に批判の通りだとしたら、愚の骨頂である。韓国の文政権は毅然とした態度で北朝鮮に臨むべきだ。

アメリカのトランプ氏にしても、4日の発射の飛翔体について短距離弾道ミサイルと断定した後に不快感を示しながら、その一方で金正恩氏への信頼感も表明している。トランプ氏も韓国の文氏と同じく、腫れものに触るようなところがある。

日本にしても安倍晋三首相が「金正恩氏との無条件会談」の実現を目指していることからだろう。アメリカと足並みをそろえ、「日本の安全保障に直接の影響はなかった」(岩屋毅防衛相)とかわし、ストレートな批判を避けた。

韓国、アメリカ、日本の各国は毅然とした態度を取るべきだ。腫れもの扱いすればするほど、金正恩氏に足元をのぞかれ、北朝鮮はエスカレートする。腫れもの扱いするのではなく、腫れものの金正恩氏を切開してとことん膿を出すことが必要なのである。