※本稿は、松本利明『「いつでも転職できる」を武器にする』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
「不本意入社」から転職する人が増えている
最新の労働力調査(2017年)では、転職者は311万人(総務省統計局「労働力調査年報」)となりました。転職者の数はここ5年間で24万人増えており、最も多いのが30代後半で、それは「就職氷河期」に新卒で仕方なく就職した世代であり、今の「売り手市場」をチャンスに、「不本意入社」だった現在の就業先から大手・有名企業への転職を模索する向きがあるといいます。
こういった時代になりましたが、「転職のセオリー」はまだアップデートされていません。給料アップ、楽しい、やりがいがあるなど、「今よりちょっといい会社」を目指すことは重要ですが、それだけでは表面的で薄っぺらいのは、あなたも気づいているでしょう。
「今の自分に市場価値はあるのか?」「自分の好きなことで稼げるのか?」「このままで世の中で認められるようになるのか?」「不安なく、自分の価値をアップデートし続けていけるのか?」といった、あなたの本音の問いに答えていきます。
最初に簡単なエクササイズから始めましょう。
次の4つのタイトルの本の中で「これがいい!」と突き抜けているタイトルはどれだと思いますか?
A:『やさしい経営入門』
B:『超・経営入門』
C:『経営者1年目の教科書』
D:『渋沢栄一が教える、小学生でもわかる経営』
「強み」は、他の人との誤差の範囲でしかない
いかがでしょうか?同じようなことが書いてありそうなタイトルですが、1番印象に残ったのは、D『渋沢栄一が教える、小学生でもわかる経営』ではないでしょうか。A、B、Cはちょっとした違いにしか感じないので薄くしか印象に残りません。
そう、あなたが考えている仕事における「強み」や「実績」も、他人からみれば他の人との違いは誤差の範囲なのです。
転職を考える際、自分の強みとして、アピールする側は一生懸命に「実績」を振り返り、自分を掘り下げてひねり出してみても、それを評価する側が下す結果は想定の誤差範囲にすぎないのです。
理由は簡単です。仕事が同じであれば誰でも同じような経歴や強みになるからです。なぜなら、仕事が同じだからです。
経理の仕事だとしましょう。評価される項目は会社の垣根を越え、業界・業種共通です。同業であれば、なおさら違いが出ないので実績で差はつきにくいのが当たり前なのです。
これは「強み」も同じです。そもそも出てくる項目も共通です。新規開拓の営業であれば、元気よく、前向きで、顧客志向が高く、共感力がある。達成志向が強く、粘り強いなど、マニュアルや評価項目にありそうなことが強みとして浮かんでくるでしょう。
仕事が同じだと強みも他人との違いが出しにくくなるのです。