「北朝鮮への過剰な気遣いは拉致問題解決に悪影響」
この産経社説のスタンスは変わっていない。主張はシンプルだが、その分、理解しやすく評価できる。産経社説は最後に安倍政権に注文する。
「重要なのは、中露、日本を含む全ての国が制裁を厳格に履行し圧力を緩めないということだ」
「この点で日本の外交姿勢にも疑問がある」
「外務省の外交青書から『北朝鮮に対する圧力を最大限まで高めていく』『国際社会の圧力をテコとして、拉致問題の早期解決を迫っていく』との表現が削除された。これが適切といえるか」
「拉致問題解決に向けた戦略なのだろうが、この問題は米朝交渉でも一貫して議論されている。北朝鮮への過剰な気遣いは交渉への悪影響しか及ぼさない」
日本はなぜ、産経社説が指摘するように北朝鮮を気遣うのだろうか。安倍首相が金正恩氏との直接会談を実行に移すための“まき餌”なのか。それならいいが、外交交渉では不利になるような「斟酌」や「忖度」は、無用である。
「北朝鮮の核は、ロシアの利益にもならない」
4月26日付の朝日新聞の社説は「非核化でしか道は開かれない」との見出しを掲げ、中盤でロシアに訴える。
「ロシアは昨年秋の安保理で、事実上の制裁の緩和を呼びかけた。プーチン氏は、北朝鮮の核開発について理解を示すかのような発言をしたこともある」
「今回の会談を通じ、北朝鮮に一定の影響力があることを国内外に示したいようだが、北朝鮮の核は地域の安定を乱し、ロシアの利益にもならない」
「度重なる北朝鮮の核・ミサイル実験への対応として、国際社会は厳しい制裁を科した。その結束があったからこそ、金正恩氏をいまの対話外交に導き出した流れを忘れてはならない」
その通りだ。この朝日社説の主張を、ロシアは耳を澄ませて聞いてほしい。世界の安全がロシアの行動に掛かっている。ロシアはそこを自覚すべきである。自国の利益ばかりを重視するようでは悲劇は避けられない。