星野リゾートを嫌いな人は「私が嫌い」

――今回の本の取材で、星野リゾート大好きという人もいらっしゃれば、大嫌いという人もいらっしゃって、いろいろな声が聞こえてきました。

【星野】よく知っています(笑)。

――当たり前と言えば当たり前なのですが、アンチな人は星野リゾートへ行っていないんですよね。「行ったことありますか」と聞いても、「いや、行ったことないです」と。

【星野】だからやはり施設が嫌いなんじゃなくて、私が嫌いなんだと思います。

――という一方でビジネスは最高のセンスでやっていると言う人は多い。

【星野】それが嫌なんでしょうね。私たちがやっていることだけを聞くと反感があるというのは理解できます。ただ、その背景にはより大きな構造的な戦いがあるのだと私は思っています。シビアに行く以外にないなと。

――星野リゾートはまるで“メッキのようだ”といった方もいました。

【星野】剥げないメッキを作ります(笑)。

最後は外資の運営会社との戦いになる

――別にそういう人たちと喧嘩しようということではない?

【星野】全然そんなことはありません。

是非一度、施設にいらしていただきたいと思います。一度いらして体験していただいて、そこで気づくことがあれば、是非ご批判も含めてお話しいただきたいと思っています。さまざまなご指摘をいただきたいです。こちらはいつでもウエルカムですし、そうした意味では、応援していただきたいと思っています。

――数字を見ると本当にすごいなと思います。着実にきちっと成果を出していらっしゃる。

【星野】いやいや。必死です。毎年毎年との思いで、28年続けています。創業からですと105年です。

――すごく必死で続けられている、ということですね。

【星野】ずっと必死です。国内ではアンチ星野リゾートということも言われつつも、やっぱり今でも外資のホテル会社に比べますと弱小企業です。先ほどもお伝えしましたが、最後は外資の運営会社との戦いになると思っています。リゾートや旅館は地方でじっとしていれば守れるという時代ではなくなってきました。やはり日本のリゾート会社が自分自身を守るためには、守っていても守れない時代ですね。

攻めに出る時は出なければなりませんし、対等に戦うためには違いも出さなければなりません。そのためには、スケールが必要です。そういう視点です。