僕が文楽に改革を促した時に、インテリたちは、「文楽はとにかくそのまま守ればいいんだ。そのために補助金を増額しろ。観客数なんてどうでもいい。観客が0になっても文楽を守れればいいんだ」と皆、真面目な顔をして言っていた。そこには文楽楽団員のやる気や人間性への配慮は全くない。僕は恐ろしく感じたが、インテリたちは自分たちがおかしいとはまったく思っていない。僕は「あー、これは立場の違いなんだな」と認識した。

天皇制がよりよく続くために必要なこと

上皇陛下の退位が議論となったときに、皇室や皇統を重視する人たちに限って、上皇陛下の退位を認めなかった。上皇陛下が公務の負担に耐えられないことが退位理由となっていたことについては、「陛下の象徴としての活動は不要だ。陛下はただその地位に就いて、祈って下さればいい」とまで主張する者もいた。被災地へのお見舞いや慰霊の旅も不要で、国民目線に下がる必要はないと言い放つ者までいた。

彼ら彼女らは、男系男子の皇統という形式・様式だけを重んじ、そこに天皇・皇室という「人間」が存在することは念頭にない。天皇制がよりよく続くためには天皇や皇室と国民の間の心の交流・絆が必要であり、皇室への国民の敬慕の念が必要であるとは考えない。

彼ら彼女らにとって天皇制がよりよく続くことなどどうでもよく、男系男子の皇統だけが続けばいいと考えている。まるで観客が0になっても、文楽楽団員に永久に文楽を演じ続けさせるがごとく。

倉山氏が、天皇制・皇統を語るにおいて、延暦寺の不滅の法灯をたとえ話にもってきたときに、氏は天皇制がよりよく続くためにはどうすればいいのか、ということについてはまったく関心がないのだなと感じた。ここが抽象論で生きる倉山氏と、日本が現実によりよくなってほしいと考える僕の違いだと認識した。

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そしたら倉山氏は、「なるほど、私も『国民から支えられない皇室が成り立っていく』とは思っていません」と言ってきた。そうなんだよ、だから国民に支えられるためにはどうしなければならないかを現実的に考えなければならないんだ。男系男子の皇統を守りさえすれば国民から支えられるという単純な話じゃないんだ。

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(ここまでリード文を除き約2600字、メールマガジン全文は約2万0300字です)

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.150(5月7日配信)を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【令和時代の天皇制(1)】なぜ国民の多くが支持するか? 存続の危機に何をすべきか?》特集です。

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