期待される「駆け込み婚」や「新元号婚」

一方、改元により「駆け込み婚」や「新元号婚」が増加するだろう。それに伴い、婚姻件数や出生数も伸びるだろう。

実際、「ミレニアム婚」がはやった2000年の婚姻件数と出生数は、それぞれ前年比+4.7%、1.1%の増加に転じた。そこで、仮に2019年も同様の効果が出現すると仮定すれば、婚姻件数が2万8000件、出生数が1.0万人増加することになる。

各種調査に基づき、結婚の平均費用を300万円、出産までの平均費用を100万円とすれば、結婚と出産でそれぞれ839億円、101億円の特需が発生する計算となる(図表2)。

婚姻件数と出生数

短期アルバイトの急増で人手不足が深刻に

しかし、改元による経済効果は、ポジティブなものばかりだとは限らない。その点では企業活動への影響を見る場合には注意が必要である。

というのも、例年4月下旬には上場企業の3月決算発表が本格化する。特に例年、5月上旬をピークに多い日には一日数百社が決算を発表する。したがって、ここで10連休により営業日数が減少し、GW前後の限られた日程に決算発表が集中することになれば、発表会場の不足や、決算内容を読み解く投資家への影響も無視できないだろう。

人手不足が続く業界にも警戒が必要だ。というのも、10連休で長期不在となる世帯が増えることになれば、連休前にネット通販の駆け込み需要が発生する可能性があり、配送面でトラブルが多発することにもなりかねない。

また、GW中はイベントや小売り・外食等の販促、引っ越しなど大量の短期バイト募集が発生することが予想され、採用する企業側からすると、より時給を上げないと人手が確保できなくなる可能性もありそうだ。

金融市場では連休前の株価下落リスク

意外な分野では、株価など金融市場への影響にも警戒が必要だ。実際、10日間も連休が続けば、連休前後の株価の振れ幅が大きくなる可能性がある。

というのも、日本の株式市場は休場となっても世界の市場は動いているため、海外で大きな材料が発生しても、日本では株式を売買できない恐れがある。特に、為替市場は世界中のいずれかの市場で24時間取引されており、当然のことながら日本の10連休中も市場は開いている。しかし、この間に円の取引量が減れば、通常よりも少ない規模の売買となるため円レートの値動きが大きくなり、それが株式市場にも反映される可能性がある。

こうした中で、海外で悪材料が出ても、日本の投資家が損失を回避する売りが出せなくなることになれば、10連休中に株式を保有するリスクを避けるために、連休前に株式市場に売り圧力が高まり、株価の下落をもたらす影響も懸念される。