パートナーが家事をしない、いつまでもお手伝い気分が抜けきらない……と嘆くキャリア女性は多い。ではどうしたら、けんかをすることなく分担ができるのか。家事研究の第一人者とともに考えます。

家事をしない男とは結婚しない

結婚前のことになりますが、できるならば「男は家事をしなくていい」と思っている人とは結婚しないことです。結婚するなら、家事を進んでする男性、もしくは現在はしていなくても、結婚後に変わってくれそうな男性を選ぶことです。変化する柔軟性がある男性なら、“家事をする夫”として育てる余地があるのではないでしょうか。

もし、既に家事をしない男性と結婚しているならば、彼の中にある基準を変えなければなりません。日常生活でそういうことをすることは難しいかもしれませんが、別の「当たり前」があることを知ってもらうことは大事です。国際的な男女の家事分担のグラフ(図表1)を見せてデータを示したり、海外と日本を比較した記事を共有するなどして、女性がほとんどの家事を請け負う日本の現状は特殊なのだとわからせることができれば、何か変化があるかもしれません。

出典=筒井淳也『結婚と家族のこれから』より。働く時間や収入が同じくらいの夫婦でも、日本では家事時間の差が大きい。

私は研究グループの中で定期的に家事分担の調査をしていますが、食事づくりやその片付け、掃除、洗濯という項目に回答する男性はほとんどいません。仕方なく、風呂の掃除とゴミ捨てという項目を設けたら、ようやくある程度の回答が出てきます。しかし、欧米の調査ではゴミ捨ては通常の家事には含まれませんから、やはり日本人男性の家事分担は少なすぎると言わざるをえません。

最初のトレーニングは「掃除」から

実際に夫が家事をした場合でも、上手にできないケースが多いでしょう。家事も仕事も、どちらも習熟が必要だということに多くの男性は気づいていません。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/monzenmachi)

そこで会社のスタッフを実地で教育するOJTのように、夫に家事をやってもらうなかで学んでもらうというプロセスが必要になってきます。何から始めるかは、それぞれの家庭によると思いますが、食事づくりは食材の計画的な購入も絡んでくる複雑なタスクですから、なかなか難しい。最初は、単発で「ここをきれいにして」と指示できる掃除のほうがいいでしょう。

もし、ご飯をつくらせるなら2週間以上の長期で任せるべきです。単発では気づかれないのですが、夫が食事づくりを一定期間やってみると、月曜日はこの料理、火曜日はこの料理とメニューを考え、冷蔵庫の中身をチェックしながら食材を買うことがどれだけ大変かわかると思います。やはり人間、大変な目に遭わせないと大変さがわかりません。そこへの理解がないようなら、仕事を経験する中で理解してもらうしかないでしょう。