男女の家事頻度は結婚前から全然ちがう

一方、女性のこだわりが強くて、なかなか家事負担が減らないというケースも根強く存在します。

母親(義母を含む)が同居している家庭といない家庭で、フルタイムで働く男女が夕食の用意や家の掃除をしているかを調べたデータがあります(図表2)。母親と同居していない男女を比べると、男性は女性ほど熱心に家事をしませんが、結婚するとさらに家事をしなくなります。母親と同居する男性と、母親と非同居で有配偶の男性が家事をする程度はほぼ同じなので、多くの男性にとって妻は母親の代わりなのでしょう。

※出典=JGSS-2008より筒井氏集計。60歳以下限定、パート、自営業、無職等を除く。また、同棲している者を除く。

男性のそんな感覚を変えるべきとも言えますが、このデータを見ると、女性は結婚してもしなくても高い頻度で夕食の用意をしていることがわかります。おそらく節約や健康を考え、手づくりの食事を良しとする意識があるのだと思いますが、結婚前にほぼ毎日夕食の準備をする割合が90%近かった女性と57%の男性が結婚すれば、齟齬が起こるのは当たり前。

夫が「今日の夕食は外食でいい」と思っても、妻が「外食は嫌だから、私がつくる」となる場合が多いのではないかと思います。そういう場合、夫の家事水準が低いと非難するのではなく、そもそも男性にはそこまでのこだわりがないことを理解しておくと衝突が避けられますし、何より自分自身の負担を減らすことができるのです。

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