そもそも男はなぜ、自慢するのか
例えば「あの仕事は全部、俺がやったようなもんだよ」「仕事が忙しすぎて昨日は寝てないんだ」などと自慢してくる男性がいますね。ではそもそもなぜ、男性はそうした自慢をするのでしょうか。
私が専門とする男性学では、男性が男らしさを証明する方法に「達成」と「逸脱」があると考えます(図表1)。「達成」とは有名大学に合格したり大企業に就職したりし、競争を勝ち抜き、社会的に認められた価値を実現することです。それ自体も自慢のタネになります。対して「逸脱」とは、残業をたくさんしたり不健康であることを自慢したりするように、常識外れの行為によって自分のすごさを誇示しようとすることです。
多くの男性は子どもの頃から、いい学校に行っていい会社に入って出世しなさいと「達成」すべき目標を与えられますが、それができないときは「逸脱」に走るケースが多いのです。残業が多いことは本来、自分の生産性の低さが背景にあるわけで、何も自慢できることではないのに……と女性は違和感を抱くかもしれません。それでも彼らが自慢げなのは、そうした理由があるのです。
自慢は、自信のなさの表れ
そしてそれをわざわざ言ってくる男性の心理を考えると、本当は自信がないんだと思いますね。例え、たいへんな仕事やあまり注目されないような仕事でも、自分がプライドを持ってやっていれば、周囲に自慢する必要なんてない。それを言ってくるというのは、他者から認められたいという気持ちがあって、とりわけ女性に感心してもらいたいのでしょう。
今の日本社会で男性は「就職して働くことが当たり前」なので、働いただけではほめられることがありません。それは、女性が家事育児をしても当たり前だと見られがちなことと同じです。つまり、そこには「ほめられたい」という心理が働いている。