男性のアピールに付き合う必要はない

もちろん、「俺はすごいだろう」というアピールに女性が付き合う必要はありません。

理由の一つには、女性にとって職場で働く期間が長くなっていることがあります。ほとんどの女性が結婚・出産で退職していた時代と違い、2007年以降、出産後も辞めずに育休を取る女性が増えています(図表2)。

ここ30年ほどの変化を振り返ってみると、90年代にバブルが崩壊したときは一家の大黒柱である男性の所得が下がり、経済的な必要性に迫られてパートに出る主婦が増えました。そして現在、男性の給料はさらに下がっていますから、女性もパートではなくフルタイムで働こうとする人が増えているのです。

そうなるとおのずと会社を見る目も変わってくるはず。結婚退職するつもりなら、男性のえらそうな態度も我慢して飲み込むという考えもあったと思いますが、「この会社に20年、30年居続ける」と思えば、対等ではない状況をそのままにはしておけません。

「さしすせそ」とお世辞を封印しよう

これまでは会社に数年だけ勤めるつもりで、「男性に対しては『すごいですね』と言っておけばいい。それで男性たちは喜ぶわけだから」というように割り切っていた人も多いと思います。

一般的な処世術に「女性が男性に言うと喜ばれる“さしすせそ”」というのがあって、その言葉は【さ】さすが、【し】知らなかった、【す】すごい、【せ】センス良いですね、【そ】そうなんですか、です。基本的に感心する意味のあいづちなんですね。男性の自慢に対してこうしたあいづちで反応すると自慢が成立してしまうので無視することが大事です。

お世辞も気をつけたほうがいいでしょう。例えば、年上の男性が「僕は45歳」と年齢を言ったとき、「えー、見えない」などとお世辞を言うと、男性はお世辞と思わず「そうか。俺って45歳には見えないんだ」と思ってしまう。そこからさらに「若いと言ってくれるということは、この子は自分を恋愛対象として見ているんだな」と誤解する。それはセクハラの温床にもなりえるので、とにかく余計なことは言わないほうがいいと思います。