人は何のために仕事をするのか。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏は「究極的にはカネのためだが、それにしても『怒られたくない』という気持ちの人が多すぎる。そういう人はつまらないアウトプットしかできない」と指摘する──。
人が仕事をする目的とは?
我々は何のために仕事をしているのだろうか。
「自身の成長のため」「社会とのつながりを得るため」「仲間とともに何かをつくり上げる達成感を味わうため」「社会をより良くするため」といった話は、わりと耳にする。ときどき「お客さまの笑顔のため」などと気持ちの悪いことを語る人もいる。
人によりいろいろな理由付けはあるだろうが、私は、基本的にはコレが究極の目的だろうと考えている。
生活を成り立たせるにはカネが必要だから。
「働く」という行為にさまざまな意義を見出し、自分なりに目的を持つことで、より熱心に、より真剣に取り組めるようになるなら、それはそれで結構なことである。だが人は、第一義的にはカネのために働いているのだ。
人が真面目に仕事に取り組むのは「怒られたくない」から
この「労働の対価としてのカネ」という果実を得るために、もっとも必要なものは何なのだろう。仕事をするうえで、人はなぜ努力をしなくてはならないのか、なぜミスをしてはいけないのか、なぜ理不尽を飲み込まなければならないのか……そういったことを、若き日々に私も考えていたのだが、27歳のころに答えは出た。
人は怒られたくないから仕事をする。
まさにコレである。拙著『夢、死ね! 若者を殺す「自己実現」という嘘』(星海社新書)でも書いたのだが、人々がマジメに仕事に取り組む際の原動力は「成長」でも「社会とのつながり」でも「達成感」でもなければ、「客の笑顔」でもなんでもないことを知った。とにかく、私も含めた凡人はカネのため、そして「怒られたくない」から必死に仕事をするのである。そして「私、ちゃんと仕事してますから」とアピールするのだ。