このようなモノがある場合は異変に気づきやすいのですが、そうでなければ、基本的に旦那さんは、奥さんがあやしいものに手を出していても気づきにくいでしょう。

妻が詐欺に遭ったら、すぐにやるべきこと

では、妻の浪費を未然に防ぐにはどうすればいいでしょうか。実は、法的には夫が妻の浪費に制限をかける方法はありません。旦那さんが稼いだお金であっても、家計が破綻するほどの金額でなければ妻は自由に使う権利があるからです。

仮に奥さんが専業主婦でも、夫が働けるのは妻のサポートがあってこそ生活が成り立っているので、夫の収入は夫婦で稼いだお金とみなされ、2人の共有財産になる。共有ということは妻のものでもあるわけですから、自由に使っていいというのが原則です。

PIXTA=写真

したがって妻の浪費を防ぐには、たとえば「5万円以上の買い物をするときは、お互い許可を取ろうね」という約束をしておくなど、日頃から話し合っておくしかありません。あるいは生活費はすべてクレジットカード払いにして、現金での支払いはしないというのも1つの手です。

カード払いにすればすべて記録に残ります。それを見れば何に使っているかが一目瞭然ですし、異変に気づいたときも傷が浅くて済む。もし詐欺被害に遭っているような場合には、カード会社に支払いを取り消す「チャージバック」という制度も使えます。そもそも悪事をはたらいている会社はカード会社と契約ができないので、クレジットカード決済ができないことが多いのも利点です。

仮に旦那さんが奥さんの異常に気づいた場合、もしくは本人から打ち明けられた場合には、すぐに弁護士に相談してください。なぜなら冒頭で紹介したような詐欺の場合、早い段階ならお金を取り戻せる可能性があるからです。

詐欺師は仮に10人くらいからクレームがあったとしても、カモがどんどん増えているときなら、元金を返して訴えた人たちを黙らせたほうが得だということに気づいています。これがどこかへ逃げたあとでは、回収するのは難しい。ですからできるだけ早く動いて、弁護士に交渉を依頼するのが得策なのです。

打つべき一手:早い段階で弁護士に相談。お金を取り戻せる可能性も

刈谷龍太
弁護士
グラディアトル法律事務所代表弁護士。中央大学法科大学院修了。2012年弁護士登録。離婚・労働・ネット・消費者被害など一般向けのトラブルから、企業法務や経営サポートなど幅広く担当。
(構成=長山清子 撮影=研壁秀俊 写真=PIXTA)
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