ただ、衆議院と参議院で圧倒的多数を占める自民党にとって「壁」になっているのも公明党の存在だ。安倍晋三首相の悲願である憲法改正を発議するためには両院で総議員の「3分の2以上」の賛成が必要で、公明党の賛成がなければクリアできない。国政においても、地方議会においても、その影響力は少数政党でありながら小さくない。

そのため、安倍政権は公明党の支援組織である創価学会幹部と太いパイプを持つ菅義偉官房長官を中心に公明党対策に躍起だが、自民党が目指す憲法改正への慎重論は公明・創価学会内になお根強い。安倍政権は、現場の混乱が予想されている消費税率10%引き上げ時の軽減税率導入を公明党に配慮して決めたが、自民党中堅議員からは「すでに安倍政権は6年を超えるが、それでも公明党から憲法改正への協力を得られる保証がない。憲法改正は安倍首相の『最大の公約』なのだから、それを守るためにいつまでも菅官房長官は甘い顔を見せるべきではない」との声もあがる。

こうした不満が自民党内から出る一方で、公明党支持者にも一部に反発が見える。秘密保護法や安保法制への対応に加え、2018年9月の沖縄県知事選をめぐる公明党の姿勢に否定的な人々だ。14年の沖縄県知事選では自主投票だった公明党だが、18年は自民党と足並みを揃えた。

「平和」「福祉」の政党として議席を獲得してきた公明党だが、最近の国政選挙は低迷ぶりも目立ち、今回の大阪ダブル選挙では「改革を止める勢力は公明党」といった負のイメージも宣伝されている。

自公政権を長く見てきた全国紙のベテラン政治記者はこう見る。「大阪も東京も自民党府連、自民党都連による『何でも反対』ぶりが目立ち、敵視してきた共産党との『共闘』も進む。こうした自民党の惨状に公明党が引きずられると、さらに支援者は離れてしまう。大阪でも東京でも『改革にストップをかける諸悪の根源』と映れば、しっぺ返しを食らうだろう」。

(写真=時事通信フォト)
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