日本企業には「スピード感」が絶対的に足りない

――ボルボの社長を10年は続けるとコミットされているようですね。

【木村】ディーラーから「10年はやってくれ」と言われたからコミットしただけです。経営がおかしくなったら「すぐに首を切ってくれ」とボルボ本社には言っていますよ。

――日本企業の経営やビジネスパーソンに足りないものはなんでしょうか。

【木村】スピードですね。ボルボ・カー・ジャパンは外資系ですがほとんどが日本人です。日本の中ではスピード感があるとは思いますが、外国人ばかりだったインドネシア日産に比べればスピードは半分ぐらいです。私は迷わず決断しますが、社長が迷ってはいけません。とにかく素早く行動することです。行動すると、その方向が正しいか、間違っているかも分かります。私は間違っていれば、悪かったとあやまり、すぐに修正します。スピード感を持って行動することが大事です。

社長をするなら大きな組織にこだわることはありません。中小企業の方が面白いかもしれません。大企業では自分一人が頑張っても周りがちんたらしていては変わりません。ボルボ・カー・ジャパンは小さな会社ですが、この5年間をみても会社が変わったことが実感できました。社長としての面白みは小さな会社の方がより実感できると思います。

木村 隆之(きむら・たかゆき)
ボルボ・カー・ジャパン 社長
1965年生まれ。87年大阪大学工学部卒業、トヨタ自動車入社。海外の商品企画を担当し、2003年米ノースカロライナ大学でMBA(経営学修士)取得。レクサス国内営業部を最後に2008年退社し、ファーストリテイリング入社。09年インドネシア日産自動車社長に転じ、12年からアジア・パシフィック日産自動車社長兼タイ日産自動車社長。14年7月からボルボ・カー・ジャパン社長。
(聞き手・構成=安井孝之 撮影=プレジデントオンライン編集部)
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