「男性医師の性欲は理性がきかないほど過剰なのか?」
本件の医師は、最終的には無罪となる可能性が高いと筆者は見ているが、世間も同じ意見だとは言い切れない。なぜなら、男性医師に対して悪い印象を持つ人も少なくないからだ。
2019年1~2月だけでも、「東京大学医学部付属病院の整形外科医(38歳)が女子高生に電車で痴漢」「横浜市にある大学の付属病院に勤務する歯科医師(29歳)が治療中の女性患者にわいせつ行為」「昭和大医学部2年生の男がタイ人風俗嬢を撲殺」「昭和大学病院の内科医ら2名が催眠作用のある薬物を混ぜた酒を女性に飲ませて暴行」などの事件が報じられている。
弁護する気はさらさらないが、「男性医師の性欲は理性がきかないほど過剰なのか?」と聞かれたら、「一般男性と同じぐらいのレベルの性欲」というのが個人的な実感である。また、仮に性欲が旺盛でも、罪を犯していいはずがない。こうした男性医師の下半身のだらしなさによって、医師への信用度が下がったとしたら極めて残念だ。
弁護士は病院にも苦言を呈した
今回の事件で、A医師の弁護士は、「術後せん妄が起きることは、医師たちの間では共有されているが、きちんとした症例報告や対策が行われていない」として、医療界にも対応を求めた。
これまで、日本の病院は手術後の幻覚について医療関係者内では話題にしても「死んだり後遺症をもたらしたりするものではなく、時間がたてば自然に治る」と解釈して、積極的に対応策をとってはいなかった。
たまに「すごいリアルな夢をみました」と訴える患者がいても、「性的趣味」「配偶者に秘密にしたい恋愛」などが明るみに出ないよう、あえて追及しないことが「大人の対応」という共通認識のようなものが医師側にはあった。
本件の影響なのか、知人の勤務する病院でも「60代女性が手術後に過剰に胸を触られた」という訴えがあったそうだ。失礼ながら、個人的には「60代女性にセクハラするだろうか」と内心疑いつつも、病院では「もし逮捕などで医師が欠員になったら診察の手が回らなくなる」との考えから、院長と主治医が丁重に謝罪して、事なきを得たそうである。