総じて、大会慣れしていて自己記録更新をめざすようなランナーは、「あまり心を乱されないでスタートラインに立ちたい」が本音のようだ。
一方、大会前日に、ひたちなか市のホテルで出会った60代男性はこう語った。
「以前はフルマラソンを走っていましたが、数年前から10キロコースに変えました。その分、楽しんで参加できるようになり、今日もこれからおすしを食べに行きます」
記録をめざすか、大会を楽しむか。それぞれの意識で向き合っているようだ。
東京からの距離と参加費用も魅力
会場に東京から電車で移動する場合、JR東京駅から勝田駅までは常磐線特急で約1時間30分だ。会場までは徒歩10数分だが、無料バスが運行されており、10キロコースなら日帰り出場もしやすい。こうした利便性も大会の人気を支えている。
参加料はフルマラソン「6000円」、10キロ「4000円」(参加資格は高校生以上で高校生はいずれも3000円)だ。2017年に参加料が上がったが、横浜マラソンの1万5000円、東京マラソンの1万800円に比べれば安い。なお、東京マラソンは2020年の大会から1万5000円(+税。国内ランナーの場合)に改定されることが発表された。
「勝田」は、東京マラソンの抽選終了後に申し込めるのも魅力のひとつだ。取材した中にも、東京マラソン落選組がいた。「勝田も参加数の上限を設けるようになったが、外れることはほとんどない」と明かす。
コースは平たんだか、寒さと風が大敵
どの市民マラソンでもそうだが、出場するランナーは、大きく「アスリートタイプ」「健康増進タイプ」「エンジョイタイプ」に分かれるようだ。
実は「勝田」の男女のフルマラソン優勝者は、米国の「ボストンマラソン」に参加できる。今年のマラソン部門(39歳以下)の男子優勝者は甲斐大貴選手で、優勝タイムは2時間18分29秒(グロスタイム)。同女子は橋本奈海選手で優勝タイムは、2時間34分18秒(同)。超ハイレベルではないが、競技レベルは高い。
「近隣の実業団が、Bチームの選手をまとめてエントリーして、タイムを競わせるケースも目立ちます」(大学の陸上競技関係者)