ゴーン氏は複数のリーダーシップスタイルを使い分けていた

グローバル・リーダーシップの優れたロールモデルの一つと言われていたカルロス・ゴーン氏の逮捕が大きな話題になっています。こうしたときだからこそ、改めてゴーン氏のリーダーシップを経営理論的視点から考察してみたいと思います。

最初に確認したいのは、リーダーシップにはいくつかのスタイルがあり、どのスタイルが求められるかは、その組織の置かれた状況によって変わる状況依存的なものだということです。たとえば危機的な状況下に求められるリーダーシップスタイルと、堅実にオペレーションを回すことが大事なときに求められるスタイルは違います。ゴーン氏はグローバル・リーダーとしていくつかのリーダーシップスタイルを使い分けていたと考えられます。

グローバル・リーダーシップに必要な要素は、米国の経営学者であるジョイス・オスランド教授がまとめています。ピラミッド図がそれです。

ピラミッドの一番下は「グローバル・ナレッジ」。世界でビジネスをするためには、当然ながら世界の経済、政治、歴史、経営の知識が最低限必要です。

その上の階層が「スレッシュホールド・トレイト」。これは「起点となる資質」という意味で、リーダーはもともと起点として、「誠実さ」「高潔さ」などの資質を持っていなければならないということです。

その上が「アティテュード&オリエンテーション」と「グローバル・マインドセット」。「グローバルな考え方に基づいた振る舞い方、方向付けの仕方、心構え」というような意味です。