社員数約50人で東証一部に上場する人材系の新興企業がある。トップダウンの意思決定はせず、数値目標もない。いわゆる「ティール型組織」を地でいく。自社の経営理念を、サービスで提供する経営者の素顔とは──。
スポーツチームのような会社をつくりたかった
【田原】新居さんは上智大学の理工学部を卒業されて1998年にインテリジェンスに入社される。まわりは、猛反対だったそうですね。
【新居】インテリジェンスは当時従業員が100人ちょっとのベンチャー企業でした。そのころはインターネットもいまほど普及していなかったし、グーグルもメジャーではなかった。ベンチャー企業がいまのように認知される前でしたから、「大企業に入らず、無名の中小企業に入るなんて」と親戚一同に呆れられました。うちは母子家庭ですが、当然のごとく母親も大反対でしたね。
【田原】インテリジェンスは当時、どんなビジネスをしていたんですか?
【新居】いわゆる人材ビジネスです。経営陣はリクルート出身の人が中心で、当時みな30代前半。「ミニリクルート」みたいな会社で、とても活気がありました。
【田原】その会社で新居さんはどんなお仕事をしていたのですか?
【新居】転職したい求職者と、即戦力の中途人材を探す企業をマッチングする人材紹介事業に関わりました。基本的には営業です。求人企業は、大手企業からスタートアップまで、あらゆる業界、業種の会社が対象。ただ、当時の大手企業は中途採用枠が少なかったので、中心は外資系企業や日本の中堅企業でした。