ミドルエイジが陥るキャリアの停滞期
新年を迎えました。心機一転、新しいことに挑戦しようというモチベーションが湧いてきますね。とはいえ、仕事の内容は年を跨いでも大きく変わることはありません。任された業務を計画的に粛々とこなしていく人が大半を占めているのではないかと思います。
楽しく仕事をしていますか? 夢中で仕事に打ち込んでいますか?
長年、働いてきてビジネスキャリアが形成されてくると、仕事で心を踊らすような経験は少なくなってきます。その理由は、目の前の任された仕事は、これまでの経験で対処できるものだからです。
そのような人が陥るのが、「キャリア・プラトー(停滞)」という状態です。プラトー(Plateau)とは、高原または台地の意味です。キャリア・プラトーはこれ以上組織の中での昇進や昇格が望めないステージで感じる、「伸びしろのなさ」や停滞感を表します。
簡単に言ってしまえば、キャリア・プラトーとは、ミドルエイジ(40代から50代前半の人)を迎え仕事には真面目に取り組んでいるが、働くモチベーションが低下している停滞期です。
転職は「ポジティブな選択」になる
世界屈指の長寿化社会で、働くことも長くなる私たちは、誰しもがこのキャリア・プラトーに陥るといっても過言ではありません。このキャリア・プラトーを抜け出す選択の一つとして、近年、増加傾向にあるのが、転職です。
その現れとして月曜から金曜まで働き、週末に身体を休める働き方をする人、学校を卒業後に就職した会社で終身雇用を全うする人の割合は年々、減少傾向にあります。複数の会社で異なる職務に従事しながら約40年間働き、65歳前後で退職した後も、人生は40年弱続くようになったのです。
さらに、退職後に、数十年ある人生設計を今から考え、準備していく必要があります。私たちは、今、その数十年の過ごし方をどれだけ、具体的に思い浮かべることができているのでしょうか。未曾有に長くなった人生を生き抜くのに、過去の生き方と働き方のロールモデルはヒントにはなりません。
そのほかにも、超少子高齢化、年金の問題など、100年人生のネガティブな要因がメディアでは日々取り上げられています。そのような傾向に対して、リンダ・グラットンは『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』の日本語版序文で、「長寿化を厄災にするのではなく、恩恵にするために、何歳であろうと、いますぐに新しい行動に踏み出し、長寿化時代への適応を始める必要がある」と問題提起を行っています。
目の前に迫ったポスト平成の時代では、転職は決してネガティブな意思決定ではなく、自らのキャリア形成に必要なポジティブな選択として認識されるようになります。それでは、働く期間自体が長くなり、組織に属し続けることでキャリア・プラトーに直面する私たちは、いかなる行動に踏み出していくことが必要なのでしょうか。