「社員の不満」を聞き出す方法

【新居】挑戦すれば必然的に失敗も増えるものです。ところが日本の大企業は挑戦しない人を評価して、挑戦して失敗した人を評価しない。これではイノベーションも起きないでしょう。

【田原】それじゃ働く人たちも不満が溜まるよね。やりたいことができないんだから。きっとエンゲージメントも低いんだと思う。この状態、どうすればいいかな。

【新居】まずは働く人たちが生き生き働ける経営をすることが大事です。

【田原】企業はどうすればいい?

【新居】まず社員が何に不満を持っているのかを把握することです。私たちの提供する「wevox」は、匿名のアンケートで社員のエンゲージメントを測って、低い場合はその原因を分析できる。こうしたツールを活用して組織を可視化すれば、次に打つべき手が見えてきます。

【田原】匿名でも、会社への不満なんてみんな素直に言わないでしょう?

【新居】そう思われるかもしれませんが、同じ内容の質問を切り口を変えて何度か聞く仕組みなので、取り繕った答えはすぐ見抜けます。

【田原】みんな簡単に会社への不満を漏らすなら、東芝の粉飾決算の問題は起きていなかったんじゃないかな。みんな上の顔色ばかり見ている。

【新居】あのレベルの会社だとそうかもしれないですね。

【田原】じゃ大企業は相手にしない?

「結果として間違っていたら変えればいい」

【新居】いま「wevox」のユーザー企業約600社。大企業でも従業員の幸せに対して意識が高い会社では、私たちのサービスをご利用いただいています。なかなか社名を出せる会社さんが少ないのですが、佐川急便さんなどは従来の姿から変わろうと努力されています。そういうお客様に対しては、私たちもできるかぎり手をお貸ししたいと考えています。

【田原】新居さんの会社自体はどうですか。どうやってエンゲージメントを高めているんですか?

【新居】トップダウンの指示命令型のマネジメントは一切行わず、みんなの意見や知恵を最大限尊重し、活かすカルチャーをつくりました。わが社では入社1年目だろうと役員だろうと、誰でもおかしいと思ったことをぶつけられる。それが正しい指摘なら、みんなも受け入れます。

【田原】正しいかどうかは誰が判断するのですか。新居さん?

【新居】みんなです。厳密には各職務や事業を担当している人が適宜判断をします。大切なのは正しいかどうかではなく、多くの仲間の知恵や意見が活きること。結果として間違っていたら変えればいい。たとえばいま新しい福利厚生制度を話し合っていますが、やってうまくいかなければやめればいいのです。