2023年までは上昇気流が続く

最後に考えたいのが、買い替えのタイミングだ。ずばり「売り時」はいつなのか。

「注目すべきは金融緩和です。金融緩和措置がとられると、お金が不動産に向かいます。簡単に言うと、金融緩和によって資産が勝手にインフレするのです(図4)。18年4月に再任したばかりの黒田東彦日銀総裁が任期を終える23年までは上昇気流が予想できます。ですから、都内などの価格が上がっているエリアにある物件なら、その間いつ売ってもいいと思います」(沖氏)

日銀は消費者物価指数の2%上昇を目標に金融緩和を続けるが、なかなか目標には届きそうにない。当分金融緩和は続くだろう、という見通しだ。

「新築の売れ行きが悪くなっていますが、それは価格が高くなりすぎたから。昔は売れなければ価格を下げてでも販売する風潮がありましたが、今の大手のデベロッパーは利益が上がっているため財務力がある。つまり無理をしないんです。『なら、値下がりするまで待ちましょう』と言っていても、そう簡単に価格が下がらないのが実感ですね。このような理由で、23年までは不動産価格は比較的高い“高原状態”が続くことが予測できます。逆に言うと、それより先の話は全くもって予測不能です」(沖氏)

売って利益が出る物件を持っている人は、「自宅をいったん売却」→「一回り小さい家にダウンサイジングする」→「低金利のローンに組み替えて、キャッシュをつくっておく」というのも賢い選択だと沖氏は言う。

久谷真理
フリーダムリンク専務取締役
銀行員を経てFPとして独立。住宅ローンや相続・不動産などの相談に携わる。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
 

池田里美
税理士
都内税理士事務所でおもに不動産関連税務を担当後、商社経理グループ会社に勤務。独立後は相続・不動産関連の税務やコンサルティングに携わる。
 

沖 有人
スタイルアクト代表取締役
会員数23万人超の分譲マンション情報サイト「住まいサーフィン」主宰。著書に“家活”を提唱した『独身こそ自宅マンションを買いなさい』など。
 
(写真=iStock.com)
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