漠然と考えるだけでは現実とズレてしまう

では、具体的にはどうやって計画を立てていけばいいだろうか。

「まずは、今後の人生をイメージしてみることです。具体的に、どこに誰と住みたいのかを考える。それは都心なのか、郊外なのか、自然の中なのか、子どもの家の近くなのか、といった具合にです。もし子どもの通学の都合で今の家を選んだとしたら、もうそれは関係なくなるわけです。住み替えのタイミングによっては、通勤についても優先順位が低くなるでしょう。それよりリタイア後の過ごし方などを念頭に入れて考えておきたいですね」(久谷氏)

漠然と考えるだけでは現実とズレが生じてしまうこともある。住みたい場所がイメージできたら実際に足を運び、住宅の価格や物価をチェックしておくといい。

次に、住み替えにかかるお金を数値化しよう。

「まず、今の家を手放したときに手元にいくら残るかを把握しておくことです。『いくらで売れるか』だけでなく、『いくら手元に残るか』を把握します。これがわからなければ、次の家にいくらあてられるのか、計算できません」(久谷氏)

「家を売って手元に残るお金」と、「無理なく拠出できる自己資金」「余裕を持って返済できる住宅ローン借入額」を把握することで、「新しい家の予算はこの程度」といった検討が可能となる。これらが明確になったところで、理想の家の価格と照らし合わせて、折り合いをつけていく(図1)。もしリタイア後はなるべく働かずに優雅に暮らしたいと思ったら、「金融資産を多く残して、家をダウンサイジングする」といった計画も立てられるだろう。

もちろん現役世代なら、老後に支障を来さない程度にローンを検討してもいい。ローンに加えて、親からの生前贈与などが想定できるのであれば、それを見越して計画を立ててもいいだろう。

住宅ローンが多く残っているなどで、思うような住み替えができない場合はどうだろうか。