「理由はいくつかあります。まず、新築物件は今は価格が高すぎます。この10年間で首都圏の新築マンションの平均価格は1000万円以上値上がりしています。今後、供給エリアが都市部にシフトすれば、さらに上昇する可能性が高いでしょう。もうひとつ理由を挙げるなら、建物の商品企画や施工について不安が多い点です。建築費のコスト上昇を少しでも抑えるために見えにくい壁の一部の質を悪くしていたり、建設ラッシュによる人手不足で施工ミスが起こるなんていうのは、実はよくある話なのです。そういう物件はプロが見たら一発でわかります」(沖氏)
一部例外があるとすれば、「23区内なら新築でも中古でもいい」とのこと。新築から1年経って中古になったときの値下がりの幅が、23区内であれば5%程度で済むからだ。たとえば千葉県や埼玉県だと15%程度にまでなってしまう。それなら23区以外は無理して新築を買う必要はない、というわけだ。
また、広さは30平米以上。50代が自宅用に買い替えするのならば、ワンルームを選ぶことはないと思うが、ゆめゆめ価格だけでワンルームを選ぶことのないようにしたい。
「ワンルーム物件は、基本的に面積が30平米未満です。その広さでは一般的な住宅ローンが使えないため、高金利のローンを組むしかなくなります。それでは自宅で資産を増やしていくといううまみがなくなりますし、売却しようにも投資用では需要が低い。そもそも新築ワンルームマンションは面積当たりの設定価格が割高のため、中古価格の値下がりが激しいということもあります(図3)。こういった理由からおすすめしません」(沖氏)
新築にしても中古にしても、マンションの販売価格が“適正価格”である保証はない。3000万円の市場価値しかない物件が5000万円の値付けで売られている可能性だってあるのだ。そこで沖氏は、買う前に適正価格かどうかをチェックすることを推奨しているそうだ。とはいえ、プロならば、立地、売り主、総戸数などのマンション概要データと近隣の販売事例をもとに適正価格を割り出すところだが、素人にはなかなか難しいもの。たとえば「住まいサーフィン」では、「沖式新築マンション時価」という分析情報を提供している。そういった第三者の不動産評価情報を参考に判断するのもいいだろう。