――エコだハウスを手掛けられた司建設ではこれまで、何棟くらいのエコハウスを手がけてこられたのでしょうか

松井(照夫)社長 群馬県を中心に、もう少しで1000棟に届きます。

―最初、小池さんからの話が来たときはどう思いましたか

松井社長 これはチャンスだと思いました。10年ほど前なら躊躇したかもしれませんが、いろいろ研究し、試行錯誤を重ねて実績を積んできたので、自信もあります。ぜひ私たちにやらせていただきたいと思いました。だから、最終的に依頼されたときは、とても嬉しかったですね。

―松井社長は家づくりに対して、これまでどういうことを心がけてきましたか

松井社長 わが社の発祥地、群馬県沼田市は群馬北部に位置し、赤城、三国、谷川と、日本の屋根に近い盆地です。冬は札幌並みの厳しい寒さ、夏は盆地特有の蒸し暑さがあり、気温は那覇に匹敵するほど厳しい自然環境です。その酷寒酷暑の気候のなかで、どうしたら人は心も体も快適に暮らせるのか。さらに、世界の潮流となったCO2削減に対応できる家をつくるにはどうすればいいか。また、従来の建築のように石油や電気への全面依存体質でいいのかという疑問など。

諸々の難問があるなか、多くの研究者とともに自然のエネルギーサイクルを最大限活用し、どう共生できるかを模索した結果がエアムーブ住宅です。こんな過酷な環境で生まれた家ですから、日本中どこでも人と環境にやさしい家として受け入れられると確信しています。

―小池さんがエコ的な部分でこだわったのはどのあたりですか

小池 みんながマネをしたくなるような共感と、何よりも光熱費を抑えることです。日本中の家が発電所、つまりパワーハウスになればよいと思っていましたからね。全国の住宅が全部発電所になったら、日本のエネルギーの安定供給、エネルギー安全保障という観点からも、効果はきわめて高いでしょう。

※プレジデント社の新刊『発電する家「エコだハウス」入門』より転載。

(撮影=奥谷 仁)