―節電など、統計はいろいろ取っていらっしゃるのですか

小池 はい。なにしろ実験的「エコだハウス」ですから。太陽光発電を導入したことで、発電量と消費電力量が一目瞭然となりました。いわゆる「見える化」「可視化」です。どれくらい電力を消費しているかを知ることは、節電努力に直結します。毎日、売買電の状況をパネルで確認するのは、意外と楽しいものですよ。

太陽光発電だけではありません。水の有効利用についても忘れませんでした。当初は雨水タンクを設置して、トイレ水洗に利用する予定でしたが、その設備がまだ高いのです。トイレの水のために百万円単位のお金を費やすのは、どうかと。結局、雨水は植物の水やり用と非常用に活用することにしました。元環境大臣だからできたエコハウスではダメなんです。ふつうに家を建てて、ふつうに暮らす家庭でも実践できなければ、意味がありません。共感してもらい、「ではわが家も」と考え、実行する人がいないと、モデルケースにはならないのです。

―「エコだハウス」を建てようとしたコンセプトはわかりました。

ところで、小池さんは一流建設会社や有名建築家のお知り合いも多いと思います。どうして群馬県の司建設に建築を依頼したのでしょうか

小池 たしかに大手建設会社や有名建築家などにお願いする手もあったでしょうが、それでは特別なケースになって、広がりがありません。お財布の都合もあります。たまたま群馬県で「エアムーブ」というエコ工法で実績をあげている会社があることを知り、興味を持ちました。実際に会ってみると、エコへの意識が高く、工法の説明も熱心です。何よりも建築への姿勢がきわめて真面目です。

『もしドラ』(『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』)のなかにも出てくる「真摯に取り組まねばならない」ですよ。

それと実績ですね。司建設は本社が寒い地域、つまり群馬県でも特に寒い沼田市にあり、そこで冬に暖かく暮らせる工法を編み出したのです。まさに、ニーズがあるところにアイデアがあるのだと感じました。風通しなどの説明を受けてみると、夏涼しく冬暖かいことにも説得力がありました。中小の建設会社にエールを送るためにも、群馬県の司建設を選びました。

※プレジデント社の新刊『発電する家「エコだハウス」入門』より転載。

(撮影=奥谷 仁)