「実家暮らしはお金が貯まる」とはよく言われる。だが、実家暮らしでも給料の大半を趣味につぎ込んでしまっていたら、貯金はできない。毎月25万円と給料の半分以上をレコードやライブにつぎ込み、独身生活を謳歌していた男性が、危機感を抱いてファイナンシャルプランナーの元に駆け込んできた。長年の浪費癖を治すことはできるのだろうか――。

※この連載「高山一恵のお金の細道」では、高山氏のもとに寄せられた相談内容をもとに、お金との付き合い方をレクチャーしていきます。相談者のプライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/recep-bg)

趣味にすべてをつぎ込む“オタク貧乏”

有名IT企業勤務の高橋義大さん(33歳/仮名)は、超がつくほどのロックマニア。音楽雑誌にも寄稿するほどの知識とコレクションを持っていました。

年収は約650万円。都内の実家に住んでいるため、生活には余裕があります。それをいいことに高橋さんは給料の大半をレコードやライブにつぎ込み、独身生活を謳歌していました。しかしお付き合いしている女性との結婚を両親にせかされたことから、お金のことを一度見てもらおうと、私のもとに来てくれたのです。

そんな彼の支出を見てわかったのは“オタク貧乏”とも言うべき散財っぷりと、実家寄生による経済感覚の乏しさでした。趣味に生きる方には特にご一読いただきたい内容です。

給料の半分以上が趣味に消える浪費癖

ファイナンシャルプランナーに相談するのが初めてという方の場合、まずは支出の内訳を書き出してもらいます(家計簿があればそれを拝見します)。そうして高橋さんのデータを分析してみると、毎月25万円ほどを音楽につぎ込んでいたことがわかりました。手取りがだいたい35~38万円なので、いかに趣味にかけるお金がハンパないものかおわかりいただけると思います。

「貯金ないなーとは思ってましたけど、まさかこんなに使ってたなんて……」

高橋さんもさすがにその数字に驚愕し、己の浪費癖にひいているようでした。

支出をさらに詳しく見ていくと、同じレコードを何枚も持っていたり、同じCDを何枚も集めたりしていることも判明。人の趣味に文句を言う気はまったくないのですが、実家暮らしでいくら余裕があっても、これでは貯まるはずがありません。

高橋さん自身30歳を過ぎていまだに親と同居し、好きなことに好きなだけお金を使っている現状に罪悪感もあったようで、「女性のファイナンシャルプランナーの方なら怒られないと思ったのでお願いしました」と言っていました。ちょっと気弱な方でもあるんです。そのためか、保険のおばちゃんの営業も断れないようで、似たような保険にいくつも入っていました。