無意識のうちにコンビニで15万円

過去には、毎月15万円をコンビニで使っていた女性もいました。彼女は高橋さんのように好きで使っていたわけでなく、会社の下にある利便性からなんとなく、ストッキング、生理用品、お弁当……等々、日用品のありとあらゆるものをコンビニで買っていました。もちろん本人に自覚はなく、支出の見える化をしたところ、衝撃の数字が現れたのでした。

毎月身を粉にして働いたお金のうち15万円分がコンビニに消えていたことを知った彼女は一気にスイッチが入り、コンビニ支出は2万円まで減らすことができました。

高橋さんやこの女性だけでなく、本連載でお伝えしてきた全員からは、年に一度、必ず連絡があります。彼らは自分たちのことを金銭的に“ワケあり”だと自覚していて、ファイナンシャルプランナーを魔除けとして使っているような気がします。それは私としては大歓迎です。

実家暮らしは最終的に損をする

あともうひとつ、高橋さんには大きな問題がありました。それは実家暮らしであることです。

貯金という側面から見れば、家賃や生活費が大幅に削減される実家暮らしは間違いなく良いことづくしです。地方から出てきて一人暮らしをしている同期に比べ、都内で実家暮らしをしている高橋さんはスタートダッシュが違います(それでも彼の場合は貯金できなかったわけですが)。

しかし、当たり前ですが親はいつか死にます。親亡き後、突然一人暮らしをはじめると、精神的自立が遅れるだけでなく、経済観念が培われず、生活に行き詰まる恐れがあります。

お金のスキルは一朝一夕で身につくものではありません。相談者を見ていても、最終的にお金に困っていないのは、きちんと自立してコツコツやってきた方です。

まだ結婚に前向きではなかった高橋さんですが、そういった意味ではこの機会に世帯を持つことで、さらなる貯蓄が可能になるかもしれません。私は魔除けとして、彼の道行きを安心させる存在になればと思っています。

高山一恵(たかやま・かずえ)
ファイナンシャルプランナー(CFP)
Money&You取締役。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。慶應義塾大学卒業。2005年に(株)エフピーウーマンの創業に携わり10年間取締役を務めた後、現職へ。主に女性向けに、全国で講演、執筆・監修、書籍、マネー相談を行っている。著書に『マンガでわかるiDeCoのはじめ方 ライバルはイデ子!?』(きんざい)、『35歳までにはぜったい知っておきたいお金のきほん』(アスペクト)など多数。
(写真=iStock.com 聞き手・構成=小泉なつみ)
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