「日本株は世界の景気敏感株」と指摘する専門家も多い

12月28日、日経平均株価は何とか2万円台を維持して年を越えたが、世界的に不安定な株価が回復したとは考えにくい。不安定な株式市場の背景には、世界経済の先行き懸念の高まりがある。特に、クリスマス休暇前、米国のムニューシン財務長官が、急きょ米大手銀行の経営陣と会談したことは市場参加者の不安をあおった。

企業の海外進出などを受けて、わが国の経済は、国内の要因よりも、海外の要因に影響される部分が増えている。その意味で、「日本株は世界の景気敏感株」と指摘する専門家も多い。今後の株価動向を考えるためには、米国をはじめとする海外経済の動向を吟味し、それがどう、わが国経済に影響するかが最も重要になる。

今後の展開を考えると、2019年の前半までは、米国経済に支えられる格好で世界経済全体の安定感はそれなりに維持できるだろう。また、夏場の選挙を控えて、わが国をはじめとする主要国の政策期待も株価をサポートするだろう。

2018年末の日経平均株価の終値を示す電光ボード(写真=時事通信フォト)

12月25日の日経平均株価の下落は、やや行き過ぎ

一方、2019年後半以降は、先行き懸念が高まりやすいとみる。世界経済を支えてきた米国経済の減速が鮮明化する可能性は否定できない。米中貿易戦争の激化懸念など潜在的なリスク要因が顕在化する展開も考えられる。そうなると、円高などを通して企業業績の悪化懸念が高まり、わが国の株価は本格的な調整局面を迎える可能性がある。

2018年年末の時点で、世界経済全体は相応の安定感を維持している。それを踏まえると、12月25日の日経平均株価の大幅な下落は、やや行き過ぎていると考えられる。日々の株価動向に一喜一憂するよりも、長めの目線でわが国の経済、それを支える要因などを考え、その上で株価動向を客観的に考える姿勢が重要だ。