米国経済は「実力」を上回る成長率を維持

重要なことは、米国経済が実力(潜在成長率)を上回る成長率を維持していることだ。それが、わが国をはじめ各国の景気を支えている。米連邦準備制度理事会(FRB)の予想では、米国の潜在成長率は2.0%弱と言われている。2018年4~6月期の米国実質GDP成長率は前期比年率換算ベースで4.2%だった。7~9月期の成長率は同3.5%だった。

実力を上回る成長の背景には、2017年12月にトランプ政権が税制改革を実現し、連邦レベルでの法人税率が35%から21%に引き下げられたことが大きい。減税によって、それまで好調に推移してきた米国経済が、さらに勢いづいた。

それに加えGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)をはじめとするIT先端企業のイノベーションも米国経済の成長を支えた。その結果、2018年9月まで米国の株価は堅調に推移し、わが国の株価も支えられてきた。

ただ、未来永劫、経済の成長は続かない。過去の景気循環に照らすと、徐々に米国の景気はピークに近づいている可能性がある。減税の効果は一時的だ。効果が一巡するにつれ、米国経済の減速(GDP成長率の低下)は避けられない。

GDP成長率がマイナスに落ち込む「失速」はいつか

問題は、いつ、GDP成長率がマイナスに落ち込む"失速"が実現するかだ。

米国の年末商戦が6年ぶりの増加となったことを踏まえると、景気のエンジンである個人消費は好調だ。賃金も緩やかに増えている。今すぐ米国の経済成長率がマイナスの水準に落ち込むことは考えづらい。2019年前半頃までは米国の緩やかな景気回復が維持され、世界経済全体の安定感が維持される可能性はある。それは、わが国経済と株価の下支え要因である。

2018年12月後半のわが国株価の行き過ぎた下落を受けて、2019年の年初以降は押し目の買いが入ってもおかしくはない。それ以降の展開を考えると、国内外での政策への期待が、日経平均株価をサポートするだろう。2019年の前半頃までは、主要国の景気対策への期待から、日経平均株価をはじめとする世界の株価がリバウンドする(価格が持ち直す)可能性がある。