(3)中立の地で交渉する

中立の場所を選ぶことには、一見したところ、どちらの側にも特別な利点も不利益もないという魅力がある。しかし、中立の場所では、どちらの側も相手についてあまり知ることができないため、どちらにとっても最悪の結果になることがある。

異なる国の企業間の交渉で、取引を進めるのにこれ以上相手について知る必要はなく、しかも、経費や時間を節約できるといった利点がある場合には、第三国を交渉場所に選ぶのが有益かもしれない。第三国で交渉することには、双方を日々の関心事から引き離して、目の前の交渉に集中させてくれるという利点もある。

深刻なビジネス紛争を解決しようとする場合には、中立の土地が話し合いに最も適した場所だろう。紛争状況では、どちらかの陣地で交渉すると、ビジター側は圧力を受けていると感じるかもしれないし、場合によっては監禁されているように感じるかもしれない。

(4)離れたままで交渉する

直接顔を合わせることは一度もないまま通信技術を利用して行われる交渉がしだいに増えてきている。

通信技術はグローバルな交渉を支える重要な手段ではあるが、必ずしも顔をつきあわせての交渉の十分な代替手段とはいえない。その主な欠点は、直接顔を合わせて交渉する場合ほど、当事者が相手について学べないことにある。ビデオ会議や電子メールや電話は、非言語的な手がかりを、まったくとは言わないまでも、ほとんど伝えてくれない。そのうえ、テレコミュニケーションは、単独で使われる場合には、ウソをついたり衝動的で無神経なメッセージを送ったりすることを助長しかねないことは、ご承知のとおりだ。

それに劣らず重要なのが、電子交渉では相手のビジネス環境に関する貴重な情報がまったく伝えられないことだ。

そうした欠点はあるものの、電子交渉は次の2つの場合にはうまくいく可能性がある。ひとつは、標準的な物品の販売など、メールや電話などで双方が十分な情報を得ることのできる比較的単純な取引の場合、もうひとつは双方がすでに相手のことをよく知っていて、交渉での電子通信の使い方について一定のルールを取り決めている場合。

通信技術がより正確かつ包括的で気配りの十分なものになるまでは、交渉は、そのプロセスの少なくとも一部については物理的な場所を必要とする。

(翻訳=ディプロマット)