ワザあり!【5】
相手の「人柄」が引き出せる質問をせよ

機械的に会話を続けようとすると、5W1Hで表せるような「情報」のやり取りに終始しがちだ。たとえば「映画を観た」と言われたら、「何を観ましたか?」「誰と行ったんですか?」「どこの映画館?」などなど。これらの問いには単語レベルで回答できるので、一問一答のように話がぷつんと途切れてしまう。もちろん導入はそれで構わないのだが、さらに相手の人柄に踏み込んだ質問をすると、グッと会話が続きやすくなる。

たとえば「映画を観て泣くほうですか?」「恋愛、シリアス、ファンタジー、どんな映画がお好きですか?」「映画館でのお口のお供はなんですか?」など。この手の質問には、「子どもができてから家族モノに弱くてね」「実はこう見えてファンタジーものが好きで、恐竜が出てくる映画は必ず観に行くんですよ」など、まとまった「エピソード」が返ってくる。

そこでいいリアクションをしたり、さらに踏み込んだ質問をしたり、時には「私の場合……」と私ネタやちょっとした感想を挟んでみたり。ここまでくれば、お互いの人柄に関する情報交換ができるので、心の距離もグンと縮まる。

「相手の人柄を知る」ことを会話の目的にすると、自然といい質問ができる。雑談が苦手な人は、相手の人柄に一歩踏み込む勇気を持とう。
ワザあり!【6】
「短いセンテンス」で想像力をかき立てよう

テッパンの「すべらない話」もあるが、重要なのはネタよりも話し方だ。話し下手な人の多くは一気にオチまで話してしまう。しかし、はじめてその話を聞く相手は、一息に話されると想像力が追いつかない。「イメージする」という行為には意外と時間がかかるからだ。すると、どんな面白い話も色あせてしまう。

面白い「話し方」の基本は次の3つだ。1.聞き手が情報を整理できるよう、出来事や場面を細かく区切る。2.話しはじめを2秒ほどあけるなど、「間」のとり方に気を付ける。3.相手がきちんと想像できているか、アイコンタクトをとって確認する。

営業マンの中にも「立て板に水」の話し方をする人がいるが、自信満々に見えて成績にはつながらないことが多い。それは、説明を聞くお客様を置いてきぼりにしているからだ。真のデキる営業マンは、お客様にも相づちを打たせる「間」をつくって、想像力をかき立てている。もし相手がこの手の話し方をはじめたら、「ここまではわかりました。ここから先の説明をお願いします」と交通整理をしよう。真剣に聞こうとしているとわかれば、相手も嫌な気はしないはずだ。

1度に話していい事柄は多くても2個程度。早口でまくしたてれば「流暢に話すな」と感心されるかもしれないが、相手が話に追いつけなくなる可能性大。