人事異動があったり新入社員が入ってきたり、春は社内外問わず初対面の人との会話が多い季節。そこで慌てぬよう、すぐに使える達人の雑談ワザを指南する。
ワザあり!【1】
「目を合わせる」ことで会話の土台づくりをせよ

よく知らない相手との雑談が難しいのは、「話しかけてもいいのか」「どのラインまで話しても大丈夫なのか」という不安が付きまとうからだ。そのため、人事異動で新しい部署に移った場合や、新しいメンバーが部署にやって来た場合などには、「雑談以前」のコミュニケーションをとる必要がある。それが「(遠くから)目を合わせる」という行為だ。

「おはようございます」などと言って入ってきた相手に対して、席についたまま優しい視線を投げる。ジロジロ見るのではなく、「はじめまして」「よろしくお願いします」という気持ちを込めて、軽く目礼する。この手順を踏んでおくだけで、会話のハードルはずいぶん低くなる。まだ話したことはなくても、「1度アイコンタクトをした(=コミュニケーションをとった)相手だから、今後何かあれば気軽に話しかけてもいいのだな」とお互いに安心できるのだ。

よく、部屋全体に「おはようございます!」と言って入室する人がいるが、これではコミュニケーションをとったうちには入らない。マナー違反でないだけである。雑談を円滑に進めたいなら、「個人に対して挨拶する」のが基本だ。

もちろん、遠くからアイコンタクトするだけでなく、席まで「よろしくお願いします」と挨拶をしに行ってもいい。さらにお互いの安心感が増すだろう。
ワザあり!【2】
軽い「私ネタ」を挟めばどんな話も盛り上がる

天気の話題はどんな人にも共通する便利なネタだ。しかし、雑談が苦手な人は「こんな話では盛り上がらないかもしれない」と怖がって、結局何も話さないことが多い。話が続かない原因は、情報のやりとりに終始して「私とあなたの人柄がわかる(興味深い)話」になっていないから。ネタの問題ではないのだ。

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まず肝に銘じてほしいのは、「人は人が好き」という事実。人は無意識に「相手はどんな性格なのか」「どんな暮らしをしているのか」「どんな人間関係があるのか」を知りたがっている。そのため、注目の時事ネタでも天気の話でも、「いい天気ですね。だから私は……」に続く部分にどんな「私ネタ(パーソナリティー)」が垣間見えるかがカギとなる。

たとえば「~こんな日は仕事を早く切り上げてお花見にでも行きたいです」。もしくは、「~でも、晴れると花粉症がひどくて」。すると相手も、「私は昨日さっそくお花見をしましたよ」と答えたり、「実は私も花粉症で……」と共感したりするだろう。人柄に触れるたび、相手は親近感を募らせていく。雑談に「私ネタ」を織り込むのは、印象をアップする意味でも有効なのだ。

コミュニケーションをとるための雑談では、難しい話は不要だ。うんちくを語るのではなく、プライベートな話題を織り交ぜよう。