会社が難色を示したとき、何を根拠にどう立ち向かえばいいか

法律上は、男女の育休取得は平等です。それでも、男性が育休をとりづらい状況が続いているのが現状です。

育休が法律で認められていることは、もちろん人事部はわかっているはず。働く側としては、もし育休をとらせないような会社であっても、「法律で認められた権利なので行使します」と言うだけの話です。

ただし、どうしても壁になるのが職場の意識。育休をとりたいと言ったら「誰がおまえの仕事やるんだ」と返されてしまう。そんなときに必要なのは、代わりの人材を探したり、上長の理解を得る「根回し」。本来はそんなことをしなくてもいいのが理想ですが、育休取得も仕事力の見せどころかもしれません。

もし「労働者の権利だから」と、強硬に育休を取得したとしても、雇用者は労働者に不利益な取り扱いをしてはいけないというのが原則です。しかし実際は出世コースから外されたり、飛ばされたり、報復的な人事がまかり通っている。すると、誰も怖くて育休を取得できないわけです。報復的な人事は、もちろん認められません。

対策としては、労働組合を味方にすること。徒手空拳で戦うのではなく、「会社と労働者の権利の問題」にすることが大切です。もし組合がない場合には、複数人でまとめて対応を求めましょう。1人で会社と向き合うのは避けるのが賢明です。

法律上は男女平等。職場の理解を得るには根回しが肝要
棗 一郎
弁護士
旬報法律事務所所属。日本労働弁護団幹事長。1961年、長崎県生まれ。中央大学法学部卒。日本マクドナルド店長残業代請求事件などを担当。
 
(構成=伊藤達也 撮影=花村謙太朗)
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