大和ハウス工業・大野直竹 社長の答え
人にはAIが真似できない部分も。いつの時代も人間力向上は必須

家を売ることは、夢を売ること

AIやICTのような技術は恐ろしい速さで進化していて、50年先、100年先の世界がどうなっているのか、なかなか見通せない時代になっているのは確かです。人間がやっていることの多くを機械やロボットが代替する時代はそう遠くない将来にやってくるのでしょう。今や株の売り買いまで人工知能にやらせるわけですから。それでも人間でなければできないことがあって、それは必ず残ると思うんです。

我々が扱っている商品は、どこか店に立ち寄って衝動買いするようなものとは違う。お客様の立場からすれば「この人に夢を託したい」と任されることが多いんです。

若手の営業マンだったりすると、知識が乏しいとか、経験が浅いとか、相手は感じるかもしれない。でも、「この人は若いけど何か見込みがある」とか「夢が託せそう」ということで信頼を勝ち得て、仕事につながることもある。だから仕事を覚えるのは大切だけれど、まず人間力を磨いてほしい。本を読んだり、映画や芝居や絵画を見たり、自分でこうしたらいいと思うことをどんどんやって、どこから見ても魅力的な人を目指してほしい――。そういうことを入社式で必ず言っています。

技術の進化についていけないと感じることはあるかもしれない。でも人間の力には、どこまでいっても機械が真似できない部分がある。相手を魅了したり、信頼を得る力というのは、まさにそうだと思う。私はそこにこだわっていきたいし、大切にしなければいけないと思います。

鈴木 喬
エステー会長
一橋大学卒業後、日本生命入社。エステーに出向し、1998年社長。「消臭力」などヒットを連発。
 

大野直竹
大和ハウス工業社長
慶應義塾大学卒業。入社以来、一貫して営業畑。副社長、営業本部長などを経て現職。
 
(写真=iStock.com)
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