少数の改革派vs多数の守旧派

1997年9月、ニューヨークのマンハッタンで、短期滞在者用のアパートを借りた。住友銀行(現・三井住友銀行)の証券企画部次長のときで、「銀行の証券業務をどうするか、グローバルにどう展開すべきか」について、分析を依頼した米コンサルタントと議論を重ねるためだ。ここで四十四歳になり、暮れまで3カ月いた。

SMBC日興証券 会長 久保哲也

ニューヨーク駐在の常務をトップに、総勢は8人ほど。通常業務から離れ、議論を集約した方向はこうなった。「将来、銀行が強みを発揮できる証券業務分野は、デリバティブ(金融派生商品)や各種の証券化、M&Aなど、投資銀行に近い業務だ。それを実行する部署を新設し、加えて、どこかの時点で株式の売買もやるべきだ。ただ、自社単独では、難しい」