黒板に絵を描いて、営業の心得を説く

1994年1月下旬の経営会議のときだ。社長が突然、「渡辺君、次は商環境事業部だ」と言った。驚いた。四十六歳。入社以来、というよりもアルバイトにきていたときから、電機や自動車などの新商品の発売から巨大なショーの展示まで、メーカーの販促活動をひと筋に手がけてきた。その司令塔のMC事業部長になっていた。

乃村工藝社 会長 渡辺 勝

商環境事業部は、百貨店や量販店、複合商業施設などの内装や販促品を受け持つ部隊で、メーカー担当の世界とはノウハウもコツも違う。だから、社内の異動はMCならMC、商環境なら商環境と、同じ部門内を縦に動くだけで、「別世界」へいく例はなかった。