※本稿は、米田靖之『JTの変人採用』(KADOKAWA)を再編集したものです。
人事異動はそもそも「望まない形」になるもの
読者のなかには、いま所属している部署に不満がある人もいるかもしれません。「仕事がおもしろくないのは、本当は別の部署で、別の仕事をしたいからだ」と考えているかもしれません。異動を希望しようと考えている人もいるでしょう。あるいは「望まない人事」に落ち込み、やる気をなくしている人もいるでしょう。
また、就活に励む学生であればみんな、自分のやりたい仕事を思い描いて、会社を選ぼうとします。でもみんながみんな、望んだ職種で働けるわけではありません。
しかし、こうしたことは、実は当たり前のことです。入社後の配属も、その後の異動も、「希望通りにいかないもの」なのです。
私自身、希望が通ったのは、アメリカへ研修に行けたことだけ。あとは希望とはまったく違う人事ばかりでした。
「そのうち希望が通るだろう」は大きな誤解
最初からして、東京に近い小田原工場に行きたかったのに関西工場だったし、アメリカ研修から帰国した後は本社で新規事業に関われると思ったら、まさかの人事部に異動。その後のM&Aのチームにしろ、製品開発にしろ、研究所にしろ、思いもよらない、まったく未経験の部署を転々としてきました。
若手のなかには、「いまはムリでも、経験を重ねて力をつければ、希望が通るだろう」と期待している人もいると思いますが、それは大きな誤解です。
若いうちは力がなくて希望が通らないし、力をつけてきたら今度は希望していない「仕事から」選ばれることになるからです。力のある人に対しては、好むと好まざるとにかかわらず、仕事のほうが「この人」と決めるので、結局、自分の希望は通らない、ということです。
つまり、「異動の7~8割は、本人の希望とは別の方向に行く」というのが、私の経験から導き出した「人事異動の法則」です。