「無駄なキャリアパス」などない

それに望まない人事であっても、そこの仕事は必ずおもしろくなります(することができます)。

米田靖之『JTの変人採用』(KADOKAWA)

自分では気づかなかった潜在能力が開花する場合だって、少なくないのです。私もR&D部門に異動になったときは驚きました。従来、研究開発の経験のある人がついたポジションでしたから、「上の人も変なところに目をつけるな」と思ったことを覚えています。

そのときは「なぜ私が?」と直接聞きはしませんでしたが、おそらくR&Dのまじめな雰囲気を変えるというか、会社が将来に向けてたばこ以外の何か新しいところを狙おうとしているタイミングだったから、「やらせてみようか」となったのでしょう。

たまたま私はそれまで「仕掛ける仕事」を多くしてきたので、タイミングが合っていたのかもしれません。

人によって得意なことはさまざまです。仕掛けるのが得意な人、きちんと継続させるのが得意な人、ゴールに持っていくのが得意な人……それぞれ向き・不向きがあります。そういうところも見て、人事はうまく配置することを考えるのだと思います。

そういった経験を通して、「ムダなキャリアパスはない」と実感しています。配属されたその場でがんばる、それが一番ではないでしょうか。

米田靖之
元JT執行役員(R&D責任者)
1982年、日本専売公社(現JT)入社。人事部長、製品開発部長、たばこ中央研究所長を経て、2012年に執行役員 R&D責任者に就任。2015年末に退任し、現在は複数社のアドバイザーを務める。
(写真=iStock.com)
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